(第6回)就職活動スケジュール(年内編)

(第6回)就職活動スケジュール(年内編)

八木政司

●採用する側の目線に立って就職活動スケジュールを見ると、やるべきことが見えてくる。

 空前の売り手市場がさけばれているが、安穏と構えていては就職活動の成功はない。マニュアル本や心構え本、大学のキャリアセンターや就職サイトには情報が氾濫しているが、その情報を自分のものにし、使いこなすには情報を整理する編集方針とも言うべき軸が欠かせない。
 そして、その軸として、本稿で皆さんに提案したいのが、採用スケジュールのなかで行われる人事部のアプローチ意図の理解である。

 第4回で述べたが、就職サイトは人事部の母集団形成(皆さんからのエントリーや応募)にかかる費用を大幅に削減したが、原則的に企業が参加するには決して安くはない費用がかかる。また、合同イベントへのブース参加はもちろん、各社が採用PRの差別化のために準備する採用ホームページや入社案内などは企業よっては千万単位のコストをかけているのだ。
 会社がコストをかける場合、金額の多寡にかかわらず必ず根拠が必要になる。
 つまり、いつの時期に学生にどういう目的で何をPRするか、どんなツールをどんな目的で配布するかということは、採用の成功という人事部が会社にコミットした内容を構成するツール(手段)なのである。

 受験勉強をされた方は、志望大学の傾向と対策を研究したことがあると思うが、それと同様のことを就職活動でもやってみようというのが、今回の私たちからの提案である。
 では、そのためにまず何を研究しなければならないのだろうか。本題に入る前に、ひとつの興味深い事例を紹介したいと思う。
 京都市に本社を構える任天堂という会社がある。言わずと知れた超優良企業だ。しかし、この会社、こと採用活動においては、PRという行為をほとんどしていない。辛うじて「他社並みのPR」というなら、採用ホームページがあるくらいだ。もし皆さんが興味を持ったならば、リクナビでもマイナビでもかまわないので、片っ端から就職サイトで社名検索をかけてみることをお薦めする。
 結論を申し上げると「一部の無料サイトを除けば、ほとんどのサイトで社名はヒットしない」だろう。
 つまり、任天堂は現在の事業やサービスで成長戦略を描く限り、わざわざお金をかけたPRをしなくても、会社が採用したい優秀な学生と出会える確率の母集団を集めることができるというわけだ。
 疑い深い人は、任天堂のホームページに掲載されている採用情報もチェックしてみるといい。そこには、2009年度の新卒採用予定数は合計で90名と掲載されているはずだ。そして、新聞等のメディアで発表されている数字と比較してみるといい。そうすれば、この数字は相対的に決して少ない数字ではないことが理解できる。

 任天堂のケースを頭に置いて、人気企業ランキングの上位を占める会社を見てみると、すべての企業がイベントにしても、パンフレット類にしても、説明会にしても「お金のかけ方」が違う。
 つまり、それだけ「優秀な学生に会うためのコスト」をかけているというわけだ。
 そのために企業は採用戦略を立案する、戦略のベースとなるのは、スケジュールだ。つまり内定者や若手社員を通じて、あるいは大学の学事日程を調べ上げ、学生の意識や心理をリサーチし、時期に応じた具体的な施策を仕掛けていく、これが採用戦略の根幹にあり、実行される施策には企画意図があるというわけなのだ。

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