「1人ブラック企業化」するしかない父親たち 理想を追う夫ほど、都合良く利用される

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とどのつまり、長時間労働が悪いということになる。日本企業の長時間労働依存体質を変革する必要がある。しかし、「意志」とか「覚悟」とか、精神論だけでは太刀打ちできない。

ワーク・ライフ・バランスというマッチョイズム

一時は「仕事を効率化すれば成果を落とさなくても家族時間を捻出できる」という言説も流行った。しかし景気停滞期に入って以降、「就職氷河期」に象徴されるように人員は減らされ、トヨタの「カイゼン」に代表されるように業務はすでに極限まで効率化されている。

よほどサボっていた会社員でもない限り、それ以上業務の効率化などできるはずがなかった。そこでさらに「家族時間を捻出しろ」というのは、絞りきった雑巾をさらに万力にかけ、最後の1滴を絞り出すようなものだ。下手をすれば雑巾が破れてしまう。

こういう後ろ向きなことを言うと、「そんなこと言っているから世の中は変わらないんだ」と説教をされそうな雰囲気すらあった。しかしそれこそが20世紀の日本企業が好んだ「やればできる、できるまでやれ、弱音を吐くな」的なマッチョイズムであるという矛盾をここで指摘しておきたい。

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国を挙げてイクメンや女性の活用をアピールしても、企業が残業ゼロや多様な働き方をうたっても、結局のところ「より短い時間で今まで通りかそれ以上の成果を上げなさい」ということでしかない。企業としては「ホワイト企業」をアピールしながら、社員が勝手に集約労働してくれるというわけだ。企業にとってこれ以上都合のいいことはない。

キャパオーバーな分を引き受けたうえに理想のワーク・ライフ・バランスを実現しようとするまじめな男性ほど、うつ症状を発したり、体調を崩したりした。妻、会社、社会からの要望すべてに一度に応えようとして、「一人ブラック企業」になってしまったのだ。

このような無茶な状況で、男性の家庭進出が進むわけがない。

「妻側と企業側の本音」については後編に続く

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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