無理を押しつけ合う「夫・妻・中間管理職」 「もっと頑張る」よりも「手放す勇気」を持て

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父親たちは自分の姿を見失っています(写真:Rawpixel / PIXTA)
男性の家庭進出を巡る理想と現実のギャップはなぜ埋まらないのか。「『1人ブラック企業化』せざるをえない父親たち」(6月18日配信)に続いて、『ルポ 父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのか』(PHP新書)の筆者である育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が仕事と家庭の両立を、父の日に考える。

妻の心の中にも住み着くマッチョイズム

雑誌『VERY』を愛読するという3人のワーキングマザーは口をそろえてこう言った。「世の中の男性がもっと家事や育児をして、男女平等になることはとてもいいことだと思います。でもやっぱり男性にはまずはしっかり稼いできてほしいかな。スーツを着て、外でかっこよく仕事している男性じゃないと私個人としては惹かれない」。

「男性は家族の大黒柱であるべきで、仕事で成果を出してなんぼ」。男性を縛るマッチョイズムは、企業文化の中だけでなく、妻の心の中にも住み着いているのだ。

「世間の風潮」が男性に求める役割と、「目の前の妻」が夫に期待する夫像との間にズレがある。性的役割にとらわれない優男的な男性像と従来型のマッチョな男性像のダブルスタンダード。どっちを目指せばいいのかわからない。

・「残業などしないで早く帰ろう!」←→「業績は落としてはいけない」

・「男性ももっと育児や家事をしよう!」←→「仕事ができない男はかっこ悪い」

これらのダブルバインドメッセージが妻からも会社からも代わる代わる発せられる。そして父親たちはパニックに陥る。自分のあるべき姿を見失う。

次ページ対外的葛藤と内面的葛藤の「二重の板挟み」
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