ピッツバーク大学医学部研究チームの研究では、SNSの利用頻度が高ければ高いほど、うつ病になりやすいという結果が出ています。その原因は、「自分以外の人たちは幸せで充実した人生を送っている」という、ゆがんだ認識が生じること。まさに、それを相談現場でも感じます。
人は、つねに他人と自分を比べて、優劣、幸不幸を判断します。社会的比較というものです。その際、比較対象が身近な友人・知人など、能力や考え方が近い人ほど影響が大きくなり、逆にまったく知らない人、年齢や環境に大きな差がある人だと、さほど影響しないのが一般的です。
いじめなども一緒で、同じ環境下にあるほど、心理的な亀裂が生じやすくなります。ママ友などがわかりやすい例です。同じ年の子どもがいる、同じマンションや町内に住んでいる、子どもを同じ幼稚園や学校に通わせている、と、共通項が多ければ多いほど、影響力の大きい比較対象となり、ちょっとしたことで大きな問題に発展してしまうのです。
有名人・芸能人まで「同じカテゴリー」に?
SNS上には、環境や立場が近い人・遠い人が混在していますが、日常の投稿がいつでも、どこでも見られ、つねに目に留まることで、ずっと年上の人や立場が違う人、有名人、芸能人なども、みんなが同じカテゴリーに属しているように錯覚してしまう場合があります。そうすると、自分にとって非現実的なこと、本来まったく気にする必要のないことに対しても、必要以上に影響される状態が生まれてしまいます。
また、現実レベルでの落ち込みも多くみられる事案です。婚活中の人が、他人の結婚式やパートナーと幸せそうにしている写真を見て落ち込む、子どものいない人が、他人の子育てに関する投稿を見て落ち込む……といったことは、フェイスブックやインスタグラムが普及したことで、より顕著になっているでしょう。
それぞれの立場や環境によって、気持ちの乱れる、心に引っかかる投稿はまちまちだと思います。それを見ていちいち不快に思うなら、思い切って非表示にする、フォローをやめるという判断も必要でしょう。完全にブロックしてしまうと、相手との関係で不都合なこともあるでしょうから、やんわりと対応することも大切です。
自分にとって嫌な投稿を毎日見ることほど、精神衛生上よくないことはありませんよ。
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