なぜ今、「綱引き」がブームなのか

意外なチームスポーツに燃える人々

「70代女性がいるチームに“引っこ抜かれた”」

今回出場した「下志津綱人」は予選会突破を目指して、親しい関係のチーム「おゆみ野TC」の協力を得て、特別メンバーで挑んでいたのだが、苦杯を喫する結果となった。しかし同チームの監督・田代孝幸さんは、「以前は“秒殺”で終わってしまったところ、今回は1分以上勝負できたので、成長が感じられた」と振り返る。

両チームのメンバーは、30~50代が中心。会社員、自営業、自衛隊員、裁判所、警察勤務の公務員、遺跡発掘調査員などバラエティに富んでいる。

「おゆみ野TC」の練習風景。フォーム練習や3対3、4対4などの対面練習、人や重りをつけたマット引きなどを行う。本格的な「綱引きマシン」を使い、練習するチームもある

「おゆみ野TC」の西本肇さんが綱引に興味を持ったのは、10年ほど前、千葉市の綱引大会に参加してから。スポーツクラブの仲間と共に、力試しのつもりで参加したところ思いがけず優勝してしまった。

2010年の千葉国体では3位に入賞。以降、「もう少し本格的にやってみよう」と、競技大会に向けて綱引サークルを作ることになったという。

現在メンバーは地元スポーツクラブの“体力自慢”を中心に13名ほど。練習を重ねているが、公式戦での成績は今のところ1勝のみ。

「綱引は体力や腕力だけの勝負ではなく、経験と地道な練習で培われた技術がものをいう。われわれはまだまだ」と、同チームの塚原勇人さんは言う。

「70代の女性がいる男女混合チームに“引っこ抜かれた”(負けた)こともある。試合前は『楽勝だろう』『ケガさせちゃたらマズいね』と話していたのに、一気にもっていかれた(笑)」(塚原さん)。

年齢を問わず活躍できるから、長く続けられるスポーツとも言えるようだ。

綱引では、特に下半身が鍛えられる。足腰で踏ん張る力が要となるので、下腿三頭筋やハムストリングスなどが肝心な部位となる。ロープが浮かないようにぐっと背中全体に力を入れるので、脊柱起立筋も発達する。

綱引で強くなるには、こうした筋力トレーニングも欠かせないが、熟練された技術のほうが最も大切だという。

「強いチームは頻繁に練習していて、結束力が強い。私たちも勝利を目指して、楽しみながら仲間と力を合わせていきたい」(西本さん)

こうした綱引チームは全国津々浦々にあり、互いに出稽古をすることもしばしばとか。ハマっている人は、他県にあらゆる年齢・職業の“綱友”がいるようだ。

「綱引なんて懐かしい」という人、綱をめぐ駆け引きに興味があるという人は、一度試してみてはいかがだろうか。

綱引サークル「おゆみ野TC」
「千葉県綱引連盟」
「社団法人日本綱引連盟」

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