「保育園建設反対」議論に違和感を感じる理由

単一機能しかない街に未来はあるのか

これを見て行くと面白いことが分かる。住宅だけの街ではなく、自治体にお金を落としてくれる施設や工場などがある、あまり規模の大きくない街のほうが豊かなのだ。たとえば、千葉県で財政力指数が高い自治体は以下の通りだ。

浦安市  1.48
成田市  1.25
袖ヶ浦市 1.07
市川市  1.00
市原市  1.00
君津市  1.00
2014年度地方公共団体の主要財政指標一覧(総務省)より

 

一見して、京葉工業地帯に含まれていたり、住宅以外にお金を落としてくれる施設がある自治体であることが分かるだろう。

東京都の場合も23区で財政力指数が1を超す自治体は港区だけだが、都下を見ると武蔵野市の1.41を筆頭に、調布市、府中市、立川市などが続く。いずれも住宅だけではなく、工場などの施設がある自治体である。つまり、住宅だけがある自治体より、多機能な自治体のほうが裕福で、良いサービスが受けられる可能性があるというわけだ。

もちろん、街と自治体をいっしょくたに語るべきではない。しかし、自治体とは街の集合体であると私は思う。閑静を良しとし、多様化を嫌う街が増えていくと自治体全体も単一機能化してしまう可能性がある。

実際、このところの駅前開発では、自治体がオフィス誘致を望んでいた場所が住宅になるというケースが増えている。開発事業者が確実に売れるものを作りたがるためだ。だが、「こちらの計画とは違うのでオフィスにしてくれとも言えず、住宅ばかりが増える」と中央線沿線のある自治体職員は嘆く。「多様な個店が揃っているところが魅力だったはずの街にどこにでもあるタワーマンションができ、活気が失われていく」。

住宅ができた結果、閑静さを望む住民の圧力に移転した工場の例などもあり、住宅自体がいけないわけではないものの、それ以外の機能が存在しにくくなるケースは少なくないのだ。こうした例が相次げば、自治体はやがて多様性を失う可能性がある。

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