「保育園建設反対」議論に違和感を感じる理由

単一機能しかない街に未来はあるのか

一方、近年各地で成功している町おこしで何が行われているかというと、街の多様化である。民間図書館やカフェ、農園などを新たに作り、従来と違う利用者に来てもらうことで街に魅力を加えるなど、住む以外の機能を持ち込むことで従来とは違う人を街に呼びこむことで活性化を図ろうとしているのだ。今後、こうした取り組みは増えていくと見られていると同時に、多様化を図ることで街や自治体はある程度の活気を保てる(大きく成長するという意味ではない)可能性が高いのである。

保育園のない地域の「資産価値」

この観点で保育園問題を考えてみるとどうだろうか。現時点での論議は保育園単体に向けられているが、本来はその街の現状と将来を見据えた上での多様化の必要性が議論されるべきだ。それでも、現在住んでいる人が静けさ、資産価値、安全性を求めて閑静な住宅街にこだわり続け、多様化を拒んで保育園に反対し続けたらどうなるか。

果たしてそんな街に若い人たちが入ってくるだろうか。若い人たちの住まい選びの中で今最も重視されるのは利便性である。共働きの子育て世代で言えば特にそうだろう。そして、利便性とはすなわち選択肢という意味である。駅前の便利な場所に住めば、複数の商業施設から好きな店を選んで買い物に行けるし、交通の利便性の高いところに住めば、子どもの進学先も複数選べる。これは言い換えれば、多様性という意味でもある。

また、資産価値を守ろうとして保育園の建設を反対場合に、逆の作用が起きる可能性もある。資産価値とは単純に言えば、欲しい人がどれだけいるかを示すバロメーターであり、ポイントは建物自体ではなく地域にある。

誰もが住みたがる稀少性の高い都心やブランド立地でなら、閑静さを保つことで価値を維持できるだろう。だが、そうしたブランド立地はさほど多くはない。それ以外の地域であれば、若い人たちに住みたいと思ってもらうほうが、資産価値の向上に繋がるのではないだろうか。

とはいえ、住みたい街に関する意見は人によって違う。だから多様性ではなく、あくまでも閑静な住宅地を守るべきと考える人がいるのは当然だ。保育園の建設反対が起きている場所にはそれぞれ個別の問題があり、その街の去就はその街の住人に委ねられるべきである。

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