「福岡」と「博多」は、なぜ微妙な関係なのか 両者の「違い」を正しく説明できますか?

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福岡市博物館の学芸員、髙山英朗さんが興味深いことを教えてくれた。

「仙台市の伊達政宗像や新潟県上越市の上杉謙信像、熊本市の加藤清正像など、旧城下町の都市の駅前や城跡には藩の繁栄を築いたお殿様の銅像が建っているもの。ところが、福岡市内の主要スポットに官兵衛像、長政像は1体もないんです」

以前、髙山さんは博多で生まれ育ったという高齢の女性から「博多の人たちは黒田家が嫌いやもんね」と言われた。商人の町「博多」の伝統への誇り、強いこだわりを感じたそうだ。

市の名前を巡る、長い長い論争

福岡市中心部を流れる那珂川。右が「博多」、左が「福岡」=福博であい橋から撮影

一方、「福岡」の人たちは全国有数の祭りとなった「博多祇園山笠」について、一昔前までは「あれは博多の祭り」と距離を置いていた。今はほとんど使われていないが、方言も博多とは違っていた。

「福岡」か「博多」か。明治時代には市の名前を巡る論争が巻き起こった。1888年、市制・町村制の導入が決まり、翌年の県令でいったんは「福岡市」となったが、90年の市会で改称の動議が出た。ところが採決は賛否同数。結局、“福岡側”の議長の裁決で「福岡市」が正式に誕生した。その代わり、89年開通の九州鉄道の駅名は「博多駅」となったのだ。

「福博の街」という言い回しがある。博多びいき、福岡びいきどちらの機嫌も損ねずに市域全体を表現できる便利な言い方だ。覚えておいて損はない。

(記者:南家弘毅)

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