「相思相愛」を実現する極めて具体的な方法

その相手には、不満の持ちようがない

1962年、シャプレー教授は共著者の故デビッド・ゲール氏と共に「大学入学と結婚の安定性」と題する論文を出版し、マッチングに関する数理分析の分野を切り開いた。

マッチング問題は、人と人、人と組織など、二つのグループのメンバー同士をパートナーとして組み合わせる問題を幅広く扱う。

論文タイトルに含まれる「大学入学」(学生と学校)や「結婚」(男性と女性)など、社会にあふれるマッチング現象をまとめて分析するためのフレームワークが、両氏により確立されたのだ。

 

「安定性」を満たさないペアは脆い

彼らはさらに、理想的なマッチングを議論するために「安定性」という概念を提唱した。これは、たとえッチング結果から個人やペアが逸脱したとしても、その人たちが当初の結果と比べて得をすることは決してない、という性質を指す。

ざっくり言うと、安定性を満たすマッチング結果(「安定マッチング」と呼ぶ)では、すべての参加者にとって「自分の手が届く相手の中でベストなパートナーとペアになっている」という状況が成立する。

現実には相思相愛の二人が引き裂かれ、互いに別の相手とペアになってしまっている状況もあるだろう。

彼らは、現在のペアが解消されれば、より望ましいパートナーを得ることもできるのに……という「理にかなった不満」を持つだろうし、だとしたら、状況を変えるための行動を起こしても不思議ではない。

そんな理不尽で不安定な(=誰かの正当な不満によって変わりうる)状況を回避できるのが安定マッチングなのだ。

次ページでは、どうすればその組み合わせが実現するのか?
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