キープもリジェクトも実際には、怖くない!
つまり、安定マッチングを導くためには、すぐに結果を求めずにあえて「受け入れを保留する」のが肝心なのである。この特徴から、GSアルゴリズムは「受け入れ保留アルゴリズム」とも呼ばれる。
ちなみに、好みのランキングさえ提出されていれば、第三者であるマッチメーカーが手順を代行し、参加者は最終結果のみを受け取ることもできる。その場合、キープの不安や、リジェクトに心が傷つくことはない。
実は、どちらのグループから提案するかによって結果が変わることもある。安定マッチングは複数存在する場合もあり、GSアルゴリズムが導き出すのは提案する側に有利な結果となる(ここでは元の論文に沿って男性側提案で紹介した)。
また、男女が1対1でパートナーとなる状況を想定したが、女性が複数の男性を受け入れるような1対多数の形にも、簡単に拡張できる。
理想のパートナーを見つけ出すからくりが意外に単純で、驚かれた方も多いのではないだろうか。
この例の男女を、労働者と企業、学生とゼミ(研究室)、研修医と病院……と置き換えれば、現実のさまざまなマッチング問題にGSアルゴリズムが応用できる。
日本でも、2003年度から、臨床研修医を病院へ配属するための仕組みとして実際に使われている。
ビジネスの現場にも、GSアルゴリズム活躍の機会はありそうだ。たとえば、社内における部署配属や、チームを組む上司と部下のペア決定にこの仕組みを応用してみてはどうだろうか。ひょっとすると、不幸なミスマッチが減って社員のモチベーションが向上するかもしれない。
ぜひ、ノーベル賞のアイデアを、身の回りのマッチング問題に活用してみてほしい。
(担当通信欄)
新たな出会いや心境(→恋愛や結婚に関する選好)の劇的な変化がない状況で安定マッチングを実現させれば、現在のパートナーに対しての「この人じゃない……」といったような不満を原因とする浮気や不倫を撲滅できるかもしれませんね!
今回例にしたGSアルゴリズムの詳細手順はこちらのページで解説されています→【経済学で理想のパートナーを探そう!】あわせてお楽しみください。ノーベル経済学賞を受賞するような研究が私たちの身近に応用できるとなると、試してみたくなることうけあいです。
さて、安田洋祐先生の「インセンティブの作法」の最新記事は2012年12月10日(月)発売の「週刊東洋経済(特集は、韓国の強さは本物か)」に掲載!
クリスマスプレゼントには恐ろしいジレンマが潜んでいる!?
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