「真に頭がいい人」は課題の眺め方が全然違う

この問題の「違和感」に気がつきますか?

1人は関西方面の大学の教員の方、もう1人は東大の医学部の在学生だった。質問の内容はほぼ同じで、おおむね次の通りだ。

〈連絡内容〉
東洋経済オンラインの記事を読みました。この問題は算数の出題としてはいいかもしれませんが、現実的ではありません。
もし仮に、この細菌を長径が2μm(マイクロメートル)、短径を1μm、高さを1μmの直方体とすると、その体積は2μ㎥になります。この細菌が1個の状態から1分39秒の間分裂し続けると、22μ㎥×2の99乗という値になりますが、これはとてつもない大きさです。単位をk㎥に直して考えても1200 k㎥を超える値で、一般的なビンのような容器のイメージからはほど遠くなります。
優秀な子どもさんなら、「1Lぐらいのビンなら、より短い時間ですぐにいっぱいになってしまうのになあ……」と思うはずです。

直感力・数値感覚が一般人と違う?

いやあ、これにはたまげた。細菌の体積をどう見積もるかにも左右されるが、確かに細かく分析し計算をすると、テーブルの上に置けるビンのような感覚とは程遠い大きさになる。東京ドームの体積が124万㎥(0.00124k㎥)、また体積ではないが、東京都23区の面積が621k㎡だから、1200 k㎥を超える空間はなかなかイメージできないほどの大きさだ。

この出来事を通じて私が感じたのは、常人では気づきにくい直感力というか、計数感覚のスゴさである。たいていの人は問題の前提を精査せずに鵜呑みにしてしまう。目に見えない、たかだか2μ㎥の細菌が、1秒間に1回、1分30秒程度分裂したところで、まさかこのような巨大な空間を形成するなど、一般人は想像もしないわけだ。

実は本問については、もうひと方、サラリーマン風の男性からコメントを頂戴した。内容は「こちらは多湖輝さんの『頭の体操』シリーズにヒントを得たのですか」というものであった。

この質問にも驚かされた。先に示したように、本問は何十年も前に知人から質問されたもので、私は多湖輝氏の話を知らなかったからである。

多湖氏の『頭の体操』は、累計販売部数1200万部を越える人気シリーズ。1巻の出版からは50年も経過しており入手困難なので、国立国会図書館に本書を探しに行った。すると確かに、第1巻の49ページに「問10」として、とてもよく似た問題があったのである。

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