2008年9月にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが破たんした。アメリカ金融市場は大混乱に陥り、保険最大手のAIUが危機に陥った。アメリカ政府は金融機関に対して巨額の資本注入を行った。日本の輸出が急減し、日本の輸出企業は大赤字に陥った。
この経済大変動が起きてから、早くも3年経った。しかし、日本では、このプロセスがいまだに完全に理解されているとは言い難い。
貿易が急減してから後のことは、これまでの経済学で理解できる。輸出という外生需要が急減したため、生産が急収縮したのだ。これは、フロー面の変化だ。
しかし、図のように、ドル/円レートの変調は、07年5月頃から始まっていたのである。6月に1ドル=123円の円安のピークをつけた後、急激な円高に転じ、08年5月には100円を突破する水準になっていた。つまり、ここまでで、2割を超える円高になっていたのだ。しかし、輸出は増え続けた。前回述べたように、フロー変数の調整は、通常は価格変化に遅れるのだ。
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