日本のアニメは"薄氷"の上にある 神山健治が描く「アニメ界の未来」(下)

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それを実現させようとしたとき、セルルックが効果を発揮するだと思う。もしキャラクターをリアルに描いた場合「これはどこの国の人?」と言われてしまうが、漫画の絵なら日本人だ、アメリカ人だ、フランス人だ、と言う部分に説得力が生まれるからです。

アニメキャラをタレントとしてCMに出演させる

――今回、『009』は、「ペプシネックス」「スタッフサービス」といった商品・サービスとコラボCMを展開させました。003(フランソワーズ)をタレントとして考え、彼女をCMに出演させる、というコンセプトが面白いと思ったのですが。

CGでキャラクターを作れるようになった最大のメリットは、彼らを役者と同じように扱えることです。フランソワーズという女優は汎用性があるので、映画製作中でも撮影の合間にセットから抜け出してCMに出演させることが可能になったということ。

(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

新しくCMを作らなければならなくなった時、従来の手描きだと、まったく別のスタッフを用意して、似ているようでなんとなく似てないキャラクターのCMを作らなければならなかった。それから考えると、可能性は広がっている。

――もしも劇中に登場したキャラクターが、実在する商品を手に取ったら……、というコンセプトということですね。

CM業界の方に聞くと、被写体や商品の魅力や美味しさを伝えるという「シズル感」をいかに出すかということに苦労されていると聞きます。そういう意味では、アニメって嘘だし、誇張ですから、アニメキャラクターが飲んだり食べたりすると、なんとなく「ああ、美味しそうだな」みたいなという感じがしてくる。それこそがアニメ映像が持つ利点だと思う。

僕も代表のひとりとして名を連ねているSTEVE N' STEVEN(スティーブンスティーブン)という会社。そこではアニメの持っている特性、良さを最大限に活かしながらも、コンテンツを中心としたタイアップビジネスやCMにつなげられるような新しいビジネスモデルを模索しています。

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