日本のアニメは"薄氷"の上にある

神山健治が描く「アニメ界の未来」(下)

日本SFマンガの金字塔ともいえる「サイボーグ009」を、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ、『東のエデン』の神山健治監督が全く新たな物語として生まれ変わらせた映画『009 RE:CYBORG』。10月27日より全国63スクリーンで公開されているが、リピーターも続出。さらに公開劇場のない地域からも熱意あふれるリクエストが相次ぎ、現在発表されているだけでも、26館が追加となるセカンドラン上映が決定。まだまだ広がりを見せそうな勢いである。
本作には『TIGER& BUNNY』『ブラック★ロックシューター』など話題の3DCG作品を数多く手がける株式会社サンジゲンが制作に参加。彼らが得意とする、3DCGとセルアニメという制作スタイルを組み合わせた新たな手法は、アニメ表現における新たな可能性を指し示している。
そこで今回は神山監督に、映画『009 RE:CYBORG』の制作によって見えてきた、アニメ業界の現状、そして未来について話を聞いた。

 

 インタビュー(上)はこちら

――最近のアニメ作品では動画仕上げなどを中国、韓国などへ外注するケースが多いですが、本作のスタッフ編成を見ると、日本人スタッフが多いですね。

手描きのアニメーション作業を3DCGでやる場合、今回のスタッフの3倍ぐらいの人員が必要になります。その際、原画までは何とか国内で賄えるんですが、動画、仕上げの段階になると、もう無理です。そこで今回取り入れたのが、フルCGのキャラクターを3Dでまず作りあげて、それを動かすという手法。この場合、その動画仕上げにあたる部分を全部3Dアニメーターが担うことになります。

特に今回は共同制作として、3Dアニメーションスタジオのサンジゲンと組んだのが大きかった。ここはアニメーターたちを全部自分たちのスタジオに置いて、作業を管理しているチームなので、ほとんど海外に出す必要がありませんでした。

日本のアニメの強みはセル画

――そのサンジゲンが参加した本作の特徴として、セルルック(セル画調)での3D映像を実現したところがあります。

海外から日本のアニメに求められるのは、やはりセル画。(『モンスターズインク』や『トイ・ストーリー』などをてがけてきた)ピクサーのアニメ作品は世界中でヒットしてますが、ピクサーの人たちは、日本のアニメのようなことが出来ないからああいった画調で作っていると言っている。ならば、わざわざ有利なものを捨ててまで、ピクサーよりも劣るような中途半端なものを作る必要はないと思うんです。

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