――去年のタイの洪水でも、タイの人々は「マイペンライ」の気持ちが強かったと聞きました。
パッタラットさん:もちろん心配をしていないわけではなく、また本当に楽観的なわけでもないのです。行動を起こさないわけでもない。安心させて、次に進むため、現実と向き合う気持ちを作るためのものです。ですから、この言葉をタイの人に言うと、とても安心して信頼されると思います。
――あれだけの大災害があり、多くの企業がダメージを受けたにも関わらず、進出企業は増えています。最近は日本企業でも、人をつなぎとめるのが大変だと聞きます。
パッタラットさん: タイの人は日本の企業はとても制約が多いと感じています。日本企業ではルールがあり、そのルールに従わなくてはいけません。とても狭い中に閉じ込められているようで、働く環境がよくない。仕事を抜きにした関係がないのです。職場の雰囲気自体も、まじめすぎて明るくない。それが、日本人がタイで働く時の難しさの1つです。タイ人は「これがルールだ」と言われて聞きはしますが、従いません。
欧米の企業であれば、いつもスタッフを励まして、チームとして働こうとする。しかし、日本企業はチームでも日本人のリーダーシップの下でのチームなのです。だから長く勤めると居心地がよくなく、つまらなく感じてしまうのです。
タイ人は自由を好みます。個人主義なのです。決められたセッティングの中にいたくない。
タイ人は無駄話や不必要な挨拶が嫌い
――タイでは朝、職場に来たときや、帰るときも何も挨拶をしないと聞きましたが、そうなんですか?
パッタラットさん:たしかに!日本では朝来たら「おはようございます」、帰る時には「お疲れさまでした」という決まったフレーズがありますが、タイにはありません。出社後、挨拶はせずに席に着き、話しかけるのはしばらくしてからです。笑顔は向けますけどね。
タイ人は無駄話や不必要な挨拶が好きではないのです。朝出社して挨拶をしないのは機嫌が悪いからではなく、自分から不必要に挨拶をしないだけです。
タイの挨拶だと「サワディクラッ(プ)」を思い浮かべると思いますが、普通の挨拶としてこれは言いません。
――タイに行ったときは至る所でこの挨拶をしましたが、タイの方はしないのですか?
パッタラットさん:それは竹村さんがゲストだからです。同僚や親しい人との間では言いません。普段は、「昨晩どうしてた?」「どこに行くの?」「もう朝ご飯食べた?」などいろいろです。
それに対しても、まじめに答える必要はありません。「ちょっと近くに」ぐらいでいいのです。ここにもタイ人の決められたものに従うのが嫌な気質が出ていますよね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら