解雇は当たり前、ニッポン雇用の修羅場

“美談”は遠い昔の話

こうした解雇自由化の流れは、製造業を中心とした大手企業だけにとどまる話ではない。製造業で失われた雇用の受け皿として期待されるサービス業もシビアだ。雇用問題に詳しい『MyNewsJapan』の渡邉正裕編集長は実情を語る。

「ある大手アパレルは多くの新卒社員を入社半年で店長にしてしまう。店長は朝7時から夜の10時まで延々と仕事をしているが、『管理監督者』だとして残業代がつかない。そんな『名ばかり管理職』が横行している」

「新卒で他社を知らない若手は、会社とはそういうものかと勘違いして頑張ってしまう。結果、激務で倒れたり、ウツになったりして、多くが自己都合退職で辞めていく。会社はそれで残る人だけでよいとする。これは新手のリストラではないか」

中小・零細企業ではすでに解雇「自由」

雇用環境が厳しい中、中小・零細企業にきちんと目を向ければ求人などいくらでもあるという議論もある。だがこと安定した雇用という面からは遠い。中小企業ではすでに解雇が“自由化”されているためだ。

「身内の不幸で有休を取得したら解雇を通告された」「データ改ざん指示を拒否したら解雇された」「店長から『俺的にだめだ』という理由で解雇された」――。

労政政策研究・研修機構が編集した『日本の雇用終了』には中小企業を舞台とした、耳を疑うような解雇事例が多数掲載されている。同機構では全国の労働局で行われたあっせん事例を詳細に分析。裁判例からは見えてこない、中小企業の解雇の実態を明らかにした。調査研究を担当した濱口桂一郎統括研究員は、「裁判所ではまず認められない、協調性がないなど『態度』を理由にした解雇が多い」と語る。

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