ワーキングプアを自治体が作っている 『非正規公務員』の著者に聞く
非正規公務員がワーキングプアの「温床」になっているという。なぜか、どうすべきなのか。
──ワーキングプアに「官製」があるのですか。
非正規の公務員は、どの職種を取っても賃金水準が年平均200万円を超えていない。週40時間労働に換算してそうなる。国税庁の調査では日本人の平均給与は407万~408万円。その半分以下が、相対的貧困の水準の尺度となる収入だから、まさに貧困層に該当してしまう。いわばワーキングプア層を自治体、つまり「官」が作っている。官製ワーキングプアといわざるをえない。
──職種は?
非正規の割合が多いのは、出先機関の住民への直接サービス分野で、最も目につくのは相談員だ。消費者や労働、年金などの分野に携わる。とりわけ消費者生活相談員は10人いれば9人は非正規だ。このほか4割以上になっているのは図書館、保育園。保育園の保育士は6割近くが非正規になっている。図書館は委託職員を含めればもっと高い。それぞれきちんとした公共サービスの担い手になっていて、多くは女性だ。この人たちがいなければ、そのサービスが立ち行かなくなっている現実がある。
──なぜそうしているのですか。
各業務の職員に定数がある。現実には定数で賄い切れない公共サービスの需要があって、それを賄うためには正規任用ではない形を取らざるをえないので非正規として雇う。ところが、日本型雇用システムが公務員の世界にも入り込んでいるから、非正規は女性のパート労働と同様の扱いとして見られてきた。仕事も収入も補助的と見なされ、そのような賃金水準しか与えられてこなかった経緯がある。