解雇は当たり前、ニッポン雇用の修羅場 “美談”は遠い昔の話
産業の裾野が広い電機業界が“震源”となるだけに、取引先への影響などを考えると、これでも氷山の一角に過ぎないとみられる。すでに岡山県にあるシャープの下請会社は、正社員の4分の1にあたる200人弱の希望退職者を募集している。
退職勧奨と配置転換を解雇代わりにフル活用
業績悪化で国内工場の半分が閉鎖・売却に追い込まれたルネサス。閉鎖・売却対象となる9工場の取引先は、二次取引先まで加えると3500社弱に至る。同調査を担当した帝国データバンク情報部の内藤修氏は、「地元経済や雇用への影響は甚大」と語る。1200人超が働く鶴岡工場(山形県)では約300人が希望退職に応じたが、「地元の求人はスーパーや外食のパートばかり」(ハローワーク鶴岡)だ。
これは地方だけの問題ではない。「今の40~50代はバブル期に大量採用されており、どの企業・産業にも分厚く滞留している。同一職種で、などとこだわっていては、まず再就職はできない」(再就職支援会社大手)とされる。
対象者の中心となるこうした40~50代は、住宅ローンの返済や子どもの教育費など、もっとも家計負担が高まる時期でもある。たとえ相応の割増退職金があっても、再就職の当てもない中、おいそれとは希望退職になど応じられないはずだ。
それでも多くの企業では、募集した人数まできっちりと応募が集まっているように見える。これには当然“理由”がある。
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