法務局の受託企業が賃金払わずに業務を放棄 社会保険未加入など職員にしわ寄せ

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法務局の受託企業が賃金払わずに業務を放棄、社会保険未加入など職員にしわ寄せ

全国各地の法務局で登記簿の公開事務(乙号事務)に従事する非常勤職員の多くが、国民年金や国民健康保険に未加入のまま、勤務を余儀なくされていることがわかった。未加入状態になっている職員は百人規模にのぼると見られ、「医療機関を受診した場合、全額自己負担を強いられるのではないか」と不安を募らせている職員もいる。

問題が表面化したのは、登記簿公開事務を受託していた企業2社が給料支払いができなくなったことを理由に業務継続を断念したのがきっかけだ。法務省は7月2日付けで事務を受託していた「アイエーカンパニー」と「ATG Company」(本社はともに東京・世田谷区、ともに大屋武志社長)に業務の全部停止を命じるとともに、両社に所属していた約1400人の職員を新たに法務局の非常勤職員として雇用し直した。

だが、法務省は雇用期間が8月3日までの1カ月間であることを理由に、被用者保険や被用者年金を適用せず、各自が国保や国民年金に加入するように求めている。

ただ、国保や国民年金への加入は円滑に進んでいないのが実情だ。国民年金や国保に加入するためには、最寄りの年金事務所に出向くなどして従来の厚生年金や協会けんぽの資格喪失を確認した後、市区町村の窓口で加入手続きを行う必要がある。しかし、アイエーカンパニーなど2社が一方的に解雇通知を送りつけたことから解雇に納得していない職員が少なくないうえ、法務省が給料の不払いや社会保険に関するトラブルを「当事者間の問題」とみなしていることも解決を遅らせている。

法務省は2社に代わる企業と新たに随意契約を結ぶことで、8月6日以降、業務委託を再開する方針だ。ただ、その際、現在の非常勤職員が新たな企業に雇用される保障もない。業務を放り出した企業の責任が不問に付される一方で、立場の弱い非正規職員が犠牲になっている。
(岡田広行 =東洋経済オンライン)

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