映画「ロクヨン」の魅力は一体どこにあるのか 佐藤浩市と三浦友和が「対決」の裏側を語る
──今、若い役者たちを率いる座長として、現場ではどんなことを意識していますか。
佐藤:主役として現場に入ったときは、役者陣の代表として彼らを守らなければいけないという意識を持っています。演者たちがいい環境で仕事をするために、おこがましいかもしれないけれど、“このやり方だと役者はつらい”と思ったときはスタッフに伝えますね。主役というポジションでないときは、歯車としての自分を意識するようにしています。自分の芝居が変わるということではなく、居住まいが変わるという感じでしょうか。
三浦:僕もまったく同じです。若いときはそんなことを考えてもいなかったのですけれど、年下のスタッフたちが増えてくると、見えてくるものが否応なく変わってくるんですね。仕事って、楽しいことばかりじゃないでしょう?調子がいいときは、みんな調子いい顔を見せてくれる。そうじゃないときの顔も、見ておくといいですよ。
理想の紳士像とは
──では最後に、このインタビュー・シリーズでみなさんにうかがっている、理想の紳士像についても教えてください。
三浦:難しい質問だね。
佐藤:考えたこともなかった。理想の淑女とは?という質問よりも難しいかもしれない。
──読者の中には、おふたりに理想の上司のイメージを抱いている方も多いと思います。
佐藤:ありがたいことだけれど、今まで演じてきた役柄のイメージでしかないですからね。
三浦:そう、虚像ですから。
佐藤:若い頃はどうしようもない人間ばかり演じてきたので、この年齢になって“理想の上司”と言ってもらえることの小気味よさはありますね(笑)。20代なんて犯人役ばっかりでしたよ。
三浦:(笑)