映画「ロクヨン」の魅力は一体どこにあるのか 佐藤浩市と三浦友和が「対決」の裏側を語る
──原作を読んだときの感想からお聞かせください。
佐藤:組織論や地方対中央の構図について描かれていて、横山さんらしい小説だな、という印象でした。警察という組織のことがよくわからなくても、自分のこととして感情移入して読める小説だと思いましたね。
三浦:僕もだいぶ横山さんの小説は読んでいますが、これが一番好きですね。波長が合った、ということだと思います。
映画のエンディングは議論して作り上げた
──原作とは異なるエンディングになっていますね。
佐藤:映画化するなら、ああいうエンディングにしませんか?ということは、僕も含めて最初の段階で話をしていました。1本で完結するのではなく前後編の映画にするのであれば、大義がなければいけない。みんなで考えて作っていった結果ですし、原作のコンサバティブなファンの方には色々と言われるかもしれませんが、僕は納得していますね。
三浦:エンディングだけではなく、映画ならではのオリジナルなものにしていく必要がありますよね。賛否はあるでしょうが、原作を読んだ人、ドラマ版を観た人たちにも期待していただいていいと思います。
──かなり久しぶりの共演になりますが、お互いに顔合わせを望んでいたとうかがっています。
佐藤:ドラマ『みんな大好き』(1983年)以来?
三浦:麻雀をやったり、ってことはあるんだけどね。悪い道は全部教えてもらいました(笑)
佐藤:(笑)。僕が言うのは口幅ったくて申し訳ないんだけれど、三浦さんは映画が大好きで、ご自身の立ち位置を俯瞰しながら作品とお芝居に関わっている。それでいて、いい意味で老けない人だと思うんですね。だから共演はすごく楽しみだったし、松岡という役を三浦さんがやってくれるという心強さもありました。
三浦:この『64-ロクヨン-』には映画で活躍している人がたくさん出ているでしょう。何でもかんでも出る人たちじゃないですよ。やるかやらないかを決めるときに重要なのは、監督、脚本、主演で、脚本がよくても、主演がこの人だったら嫌だなってことも正直あるし、その逆もある。この監督が呼んでくれるんだったら、ワンシーンでも出たいということもあります。今回は主役が佐藤浩市だからやりたいっていう役者がたくさんいたし、僕もその中のひとりですね。