『半落ち』『クライマーズ・ハイ』など数々の傑作を生み出してきたベストセラー作家・横山秀夫が7年ぶりに世に放った小説『64(ロクヨン)』が、前後編2部作の『64-ロクヨン-前編/後編』として映画化。同作には、佐藤浩市を筆頭に、綾野剛、榮倉奈々、瑛太、永瀬正敏、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、三浦友和などが参加し、重厚な物語を紡ぎ出している。監督は、『ヘヴンズ ストーリー』で、第61回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を獲得した鬼才・瀬々敬久が担当している。
かつては刑事部の刑事として活躍していた本作の主人公・三上義信は、現在は警務部の広報官として常にマスコミからの外圧にも晒されている。そして父親としても、娘の家出失踪という家族の問題も抱えていた三上が、昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」事件の真相に挑むことになる――。
今回はそんな熱気あふれる重厚な人間ドラマを生み出した原作者・横山秀夫に、映画への思い、12年間の新聞記者生活を経てたどり着いた小説家という職業について聞いた。
映画というより生き物のようだった
――実際に映画をご覧になって感想はいかがでしたか?
一言で言うと、すごい。映画というよりは生き物のようだった。画面の隅々まで神経が行き届いていて、圧倒されましたね。最初にシナリオをいただいた時に、瀬々敬久監督や脚本家の久松真一さんともやりとりをしたのですが、やはり活字と映像とは文法が違う。私は一人称の視点というか、主人公が見たもの聞いたもの以外は文字にできないという縛りをかけて書きました。しかし映画の場合は、最初から最後まで主人公の佐藤浩市さんが画面に映り込んで、神の視点というか、三人称多視点で描かれていくので表現がかなり立体的になる。それが非常に巧みで、かつ大胆に立体化されているなというのが映画を観た感想でした。
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