山田洋次監督の喜劇映画は、なぜ笑えるのか 「家族はつらいよ」の制作秘話

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「家族はつらいよ」の創作の秘密を深澤プロデューサーに聞いた(c)2016「家族はつらいよ」製作委員会
1969年から1995年にかけて計48本が制作され、累計動員数のべ8000万人以上をほこる国民的喜劇映画『男はつらいよ』から21年。山田洋次監督待望の喜劇作品『家族はつらいよ』が全国松竹系にて公開されている。本作には、橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優という、山田監督の『東京家族』で一家を演じた8人のキャストたちが再集結。前作とはうって変わり、「熟年離婚」騒動をめぐるドタバタを軽妙に演じきっている。
『男はつらいよ』以降も、数々のヒット作を生み出してきた山田監督をプロデューサーとして支えてきたのが、松竹撮影所の深澤宏氏だ。今回はその深澤プロデューサーに、山田監督の喜劇に対する思い、山田監督の創作の秘密などについて聞いた。

ずっと喜劇映画を作りたいと思っていた

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――ここしばらく『たそがれ清兵衛』『母べえ』『東京家族』『小さいおうち』といったシリアスな作品を発表してきた山田監督にとっては、この『家族はつらいよ』は久々の喜劇作品となりますが。

山田監督は、『男はつらいよ』という大きな柱となる喜劇作品のほかに、『家族』や『同胞』『幸福の黄色いハンカチ』といった、もうひとつの世界観とも言うべき作品を並行して発表し続けてきました。しかし、(『男はつらいよ』の主演である)渥美清さんがお亡くなりになったことで、山田監督としては喜劇というひとつの柱を失ってしまいました。

しかし、直接メガホンはとっていなかったものの、『釣りバカ日誌』の脚本も書いていました。山田監督は、喜劇映画を作りたいという思いがあり、もう一度やりましょうという話はずっとしていました。僕も『男はつらいよ』に携わっていたので、当然、喜劇はやりたいと思い続けていました。

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