給料やボーナスは働いているかぎりずっともらい続ける。時間軸を長くすれば、その差はかなり大きくなる。東洋経済オンラインは会社に新卒で入社して定年まで働いたときに取得できる総額である「生涯給料」のランキングを作成。全上場企業約3600社を全国7地域(北海道・東北、東京除く関東、東京、中部、近畿、中国四国、九州沖縄)に分けてまとめた。
これまで「東京都トップ500社」「東京都ワースト500社」「近畿586社」「中部429社」の生涯給料ランキングをお届けしてきたが、第5弾として九州・沖縄地方(福岡、長崎、熊本、佐賀、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の各県)に本社を置く103社のランキングを公表する。
『会社四季報』に掲載した本社所在地が九州・沖縄圏となっている会社のうち、単体の従業員数が30人に満たない場合や、平均賃金の発表がない企業は除いた。有価証券報告書(2014年6月期~2015年6月期)の公開データと、厚生労働省が調査・公表している「平成25年度賃金構造基本統計調査」を基に試算した。
RKB毎日放送は唯一の4億円超で圧倒
グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基にしている有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。そのため純粋持ち株会社の数字を使用していることをあらかじめお断りしておきたい。純粋持ち株会社は本社の中枢機能を担う社員しかいないケースが多く、年収が製造現場などの実態より上振れる傾向にある。従業員数30人以上であれば原則、掲載している。
あくまで理論的に割り出した推計値ながら、一定の目安となるはずだ。九州・沖縄地方で第1位はRKB毎日放送の4億1659万円と、本ランキングで唯一の4億円超えだ。福岡県に本社がある民間の放送局で、テレビ・ラジオを兼営している。平均年収1219万円は全国的に見ても高いほうだが、地域を絞るとさらに際立つ。中部地方と同様に民放の地方テレビ局社員は物価の安さもあり、かなりゆとりのある生活を送っているとみられる。
2位は三井松島産業の3億2922万円。柱は豪州生産、輸入販売などの石炭事業で、豪州以外の権益も拡大しているが、かつて戦後の石炭産業衰退で炭鉱事業を縮小。2001年には池島炭鉱を閉山し、2000年代前半は無配が続くなど、苦境の時期があった。
一方、池島炭鉱閉山と同時に、海外石炭の輸入に転換したことが奏功し、その後は業績を回復。2007年3月期に復配し、その後も安定した配当を続けている。従業員への給与も一時期は切り下げたとみられるが、苦境を脱し、安定した収益基盤を得てきたことから徐々に給与水準を引き上げており、それが生涯給料の高さにもつながっているとみられる。
3億円を超えているのはこの2社だけだ。ただ、九州・沖縄のような地方企業だと東名阪の大都市に比べて、インフラ系や地銀などの相対的な高さが目立ってくる。熊本地震に見舞われた熊本県を本社に置く上場企業は5社ランクインしている。