その起業に「社会に貢献したい!」はあるか 儲かると考えて始める事業は、まず失敗する

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ここに、かねてから気に掛かっていたもう一つの思いが重なる。それが、「クリティカルワーカーに活躍の場を」というものだ。「一流の会社は日本にもたくさんありますが、一流の人材に成長をコミットできる会社は少ない。ならば、優秀な人材しかいない会社をつくり、彼らが活躍・成長できる機会を提供しようと考えたのです」

それは牧野氏がシステムコンサルタント時代に感じていたことでもあった。

「優秀な人と仕事をすると楽しいのです。とくにシリコンバレーで仕事をしたときは、猛烈に仕事をする人たちを目の当たりにしました。なぜ報酬もそこそこに懸命に働くのか。それは“キャリアを積んで、めざす会社に入る”という目標が彼らにあったからなのです」

しかし、それこそ世界を変えるようなプロダクトを生み出す面白い会社に入社しても、すぐに次の目標を掲げる。その一つが起業だ。つまり、シリコンバレーで働く人々はつねに成長のことしか考えていない。それが牧野氏には新鮮だった。

「日本で大きな会社はたくさんあるが、どれだけ自分が成長できるかという視点で考えると、シリコンバレーのような会社は日本にはなかったわけです。だからこそ、とにかく優秀な人しか採らないという方針を立て、起業したのです」

会社の成長は人材にかかっている

優秀な人材の採用についても、90年代後半以降、金融機関から多くの第二新卒を採ったことが成長につながったという。

「優秀な人ほど社会に貢献したいと思うものです。しかし、気をつけなければいけないのは、優秀な人だけを採ろうとすると、人が採りづらくなることです。結果、会社の成長率も落ちていく。一方、優秀ではない人を採ると、成長はするが、もしものときに業態転換できなくなる。ただ、それでも会社が成長する一番の理由はビジネスモデル云々ではなく、人にあるのです。どれだけ優秀な人を採用できるか。それが会社の成長につながるのです」

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