その起業に「社会に貢献したい!」はあるか

儲かると考えて始める事業は、まず失敗する

今、牧野氏は 5年前にMBOで非上場化した2011年を“第二の創業”と位置付け、会社の拡大を図っている。事実、ここ数年で上海、シンガポール、ニューヨーク、チェンナイ、ロサンゼルスに拠点を拡げ、採用も一気に拡大。現在の従業員数は約4000人にのぼり、優秀な人材を確保するために、社員の報酬も3割ほど引き上げたという。

今、注力しているビジネスは、世界初の人工知能型ERPである「HUE」。業務システムへの人工知能搭載を実現し、応答速度0.1秒で、人工知能によるビッグデータ解析を行うという。今後も単純知識労働を人工知能へ置き換え、現場の生産性を大幅に向上させるために業容拡大を図る方針だ。

起業家のタイプが変わってきた

一方、経済産業省新規事業調整官の石井芳明氏は、日本のベンチャー風土を活発化させるためには、「ベンチャー創造の好循環」、つまり失敗を恐れない挑戦が称賛される社会的価値観を育む必要があると語る。

経済産業省
経済産業政策局 新規産業室
新規事業調整官
石井芳明
1987年岡山大学法学部法学科卒業。96年カリフォルニア大学バークレー校留学(公共政策 単位履修生)。2000年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。12年早稲田大学大学院商学研究科卒業(博士【商学】)。87年通商産業省(現経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。2011年、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、12年から現職。

「今、見えにくいかもしれませんが、いろんな政策が前に進んでいる状況です。経済は回復基調にあり、GDPも企業収益も上向き。ベンチャー投資も増加しています」

石井氏は、「儲かるからやる」という理由でベンチャーを起業する人が今、少なくなってきていると指摘する。

「私はベンチャーに期待しているのです。今伸びつつある多くの起業家に『君は何のためにこの仕事をやっているのか』と問うと、『社会のためにやっている』という答えが返ってきます。だからこそ、がんばって成功してほしいのです」

これからは「ヘルスケア」「バイオ」「シェアリング」「フィンテック」が注目分野とされる。そのため、政府ではベンチャーエコシステム形成のための政策として、「グローバル化支援」「架け橋プロジェクト」「ローカルアベノミクス」「大学改革」「規制改革」「政府調達」「ベンチャー支援ネットワーク」「産業革新機構・中小機構による出資」ほか、大企業とベンチャーとの連携を図るためのサポートも拡大していく方針だ。

「昔はインキュベーション施設だけをつくるなど、ハードのみをコピーする傾向がありましたが、今は違います。人と人を結びつけることを中心に、人材育成や機会づくりに注力しています。世界のイノベーションエコシステムとの連携を促進するためにも、人との繋がりを重視し、日本のイノベーションを加速させようと努力しています」

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