その起業に「社会に貢献したい!」はあるか

儲かると考えて始める事業は、まず失敗する

「私はこれまで多くの起業家コンテストで審査委員を務めてきて、“これこそビジネスチャンスだ”と思って起業する人たちをたくさん見てきました。しかし、『この市場は儲かる』といった理由だけで起業した人ほど、実は失敗の確率が高いと言えるのです。

皆さんは不思議に思うかもしれませんが、社長が儲かると思ったビジネスほど、スタッフは付いていかないものなのです。したがって、社長に求心力も生まれなければ、会社も大きくなりません。では、起業で成功するために大事なことは何か。それが、社会に貢献したいという純粋な思いなのです」

起業の発端は“怒り”

ワークスアプリケーションズ
代表取締役CEO
牧野正幸
大手建設会社を経て、ソフト会社に入社。その後、大手コンピュータメーカーに出向、システムコンサルタントに。1996年にワークスアプリケーションズを設立。これまで「理想の経営者No.1」(リクナビ調べ)や「20万人の学生があこがれる経営者アワード PERSONALITY部門」第1位 (LEADERS'AWARD)に選ばれるなど、注目を集める経営者のひとりである。

実は、牧野氏はワークスアプリケーションズを創業するまで、起業したいと思ったことはなかったという。前職はシステムコンサルタント。いい仕事があり、いい部下がおり、収入も増えていたため辞める理由は見当たらなかった。では、なぜ起業したのか。

牧野氏はその理由について、「企業の情報投資効率を世界レベルへ」「クリティカルワーカーに活躍の場を」という2つの思いがあったからだと言う。

「ある時、世界の情報投資の投資収益率(ROI)を調べる機会がありました。試みに日本の大企業のROIを調べると、どこもたいへん低い結果でした。ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた80年代。日本企業の情報投資は、その額に見合う収益率を得ていなかったのです。

その理由は、日本企業が自らの業務に合わせた情報システムをオーダーメイドでゼロからつくっていたことでした。一方、欧米企業は仕様の統一したERPパッケージソフトを購入するため、少ない投資で収益率を上げていることがわかったのです」

そこで牧野氏は、日本企業の情報投資効率を世界レべルへ上げることを目標に掲げるようになる。

「日本企業は複雑な業務システムを有しています。だから、単に海外のERPパッケージを入れてもなかなかうまくいかない。ならば、日本仕様向けに、ERPパッケージを開発すればいいはず。けれど、誰もつくろうとはしていなかったのです」

そのとき牧野氏が抱いた思いは、さまざまな理由を付けては腰をあげようとしないIT業界に対する怒りだった。だからこそ起業することになったと明かす。

「情報投資への効率を上げるためにも、日本の大手企業向けERPパッケージの開発は必須でした。しかも、それを実現するには、問題解決能力の高い優秀な人材が大量に必要であることがわかったのです」

次ページ「クリティカルワーカーに活躍の場を」
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