では、これから起業したいと思う人はどうすればいいのだろうか。とくにベンチャー起業の際に最初に取り組むべき課題は資金面だ。とりわけ開業資金の融通がその第一歩になるだろう。この点について石井氏はこうアドバイスする。
「まずは日本政策金融公庫で相談すればいいでしょうね。基本となるビジネスプランの作り方も教えてくれます。窓口には人材がそろっていますから、ぜひご相談いただければと思います」
また、開業資金だけではなく、運転資金や事業拡大など、もう少し大きい資金が必要な場合はどうか。
「かつては、融資の際に個人保証をとるケースも見受けられましたが、それでは普通のビジネスパーソンがチャレンジするには敷居が高すぎます。今は融資の際にできるだけ個人保証をとらないような流れになっています。さらに成長期にあるベンチャーになれば、産業革新機構・中小機構などを活用することもお薦めします。政府もこうした支援を活発に推し進めており、まずは今あるものから活用してみてはいかがでしょうか」
米国でも政府が旗振り役をやっている
ただ一方で、国の政策と言えば、とかく慎重になり過ぎる傾向があることも確かだ。ベンチャー支援はこれまでも行われてきたが、どうしても失敗を恐れて、今一歩踏み込めないところもあった。こうした事情については石井氏も自覚しており、改善点を探ってきた。
「たとえば、アメリカではベンチャー育成に政府が係わっていないと思われていますが、実はさまざまな規制を乗り越えて、政府が旗振り役となって、ベンチャーキャピタルをはじめとしたさまざまな資金がベンチャーに行き渡るような仕組みをつくってきました。
アメリカは、こうした政策を30~40年間も続けています。その間、さまざまな障壁があったのでしょうが、一つひとつ問題を解決していくことで、ベンチャーが育ちやすい環境をつくることができたと言えるのです。何ごとも一朝一夕には進みません。日本ももっと長い目で見ながらベンチャー育成ができるような政策や制度をつくっていくべきだと考えています。その意味では、私も皆さんと一緒になってベンチャー育成のためにチャレンジしたいと思っています」
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