カジノは世界基準の「おもてなし」の宝庫だ 税収5000億円は子育て支援に使えばいい

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──「IR推進法案」が通らなければ、具体的には何も前進できませんが、松井さんはどこに、どういうIRやカジノをつくったらいいとお考えですか。

カジノについて日本で流れている情報は、どちらかと言うとアメリカ一辺倒であり、ラスベガス型のカジノというイメージが定着しています。それはざっくり言えば、バイキング・レストランみたいなものです。とにかく規模が大きくて、いわゆるIR(統合型リゾート)と呼ばれるものです。

もちろん、IRということになると、競争の舞台はいきなり他国の巨大IRとの客の奪い合いという「世界レイヤー」になりますから、地方自治体や小さな企業では太刀打ちできません。ですから、IRとなると、立地はどうしても大都市やその周辺に限定されると思います。

アメリカ型かヨーロッパ型か

その1つとして、横浜は非常にいいのではないかと私は思っています。横浜は昔から外国人が多い街ですし、開放的で、海からもお客さんが来られます。東京からも近い距離にありますから、大人が非日常を求めて遊びに行くにはちょうどいいと思います。しかも、そうした法律にすれば、フェリー式のカジノも横浜には発着できるようになりますから、私は一押しだと考えています。

ラスベガス型のカジノと対極にあるのが、ヨーロッパ型のカジノです。IRがバイキングなら、こちらはこじんまりした高級な料亭といったところでしょう。こういう規模が小さいカジノだと、競争相手は国内外の観光地になりますから、地方自治体や地方の企業でも何とか戦えると思います。たとえば小樽にはIRは合いませんが、ヨーロッパ型のカジノなら地域とも調和が可能でしょう。

ですから、場所に合わせてアメリカ型のIRにするか、ヨーロッパ型のカジノにするかを選択することになるだろうと思います。もちろん私は、どちらのタイプのものもあって、使い分けができるようにすることも大事なことだと思っています。

ちなみに、私の一押しは佐世保市にある「ハウステンボス」の中です。ここにはすでにJRAの場外馬券売場(ウインズ佐世保)があり、全く違和感ありません。シンガポールのリゾートワールド・セントーサのカジノもユニバーサルスタジオの中にありますし、ここにカジノを作れば成功するでしょう。

──IR議連の人たちは、日本でIRをつくるときにはシンガポールのIRをモデルにしようという話をよくしますが、これについてはどう思われますか?

カジノの設置について参考にするなら賛成ですが、もし依存症対策をそのまま真似するとすれば、たぶん失敗すると思います。シンガポールは総人口が約550万人の都市国家で、国民を全員きちんと管理することが可能ですから、依存症の問題にしても個別に対応することができます。しかし、人口が1億2500万人もいる日本ではそんなことは現実的に不可能です。

──現実問題として、日本にはカジノに関するノウハウがないわけですから、外資が入らないと、カジノはできないということになりますか? 外資企業は虎視眈々と日本への参入を狙っているようですし、中にはあれだけパチンコが流行っている日本でカジノが流行らないはずがないから、パチンコの市場をそっくりカジノの市場にしてやる、と公言している外資企業もありますが。

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