北海道、沖縄のIRも高い収益性
本連載で繰り返し説明しているように、カジノの市場規模を決定する要素は、①エリアの個人金融資産量、②集客力(アクセスのよさ、アトラクションの強さ)――です。前回の第8回(日本のカジノは、最大2.2兆円産業になる。カジノは圧倒的な競争力を持つギャンブル)のように、キャピタル&イノベーションでは2020年以降の日本のカジノ市場を1.2兆~2.2兆円と予想しています。IR、カジノ施設数が3~4カ所の場合が1.2兆円、10カ所の場合が2.2兆円です。施設数はIR議連の考え方にのっとっています。これは、トップダウンのアプローチによる算出です。既存ギャンブル市場(パチンコ、公営競技、宝くじ、TOTO)の存在と規模感を考慮しつつ、GDP、個人金融資産量に対する比率により算出しました。
1施設当たり平均の売上高は上記のカジノの市場規模に対して、③施設数を考慮することで把握できます。単純化すれば、1施設当たり平均の売上高は「個人金融資産量/カジノ施設数」、すなわち「カジノ1施設当たり個人金融資産量」で推定できます。一方、当然のことですが、各地域にはそれぞれ経済規模や特徴に違いがあります。各地域のIR、カジノ施設の収益規模の算出にはボトムアップのアプローチが必要です。日帰り圏内の地域住民の市場(圏内の可処分所得、個人金融資産量など)、日本人と外国人の旅行者の市場(訪問者数、宿泊数など)に分けて算出します。海外の例、国内レジャー産業の例などから、各種パラメーターとカジノ市場規模の相関関係を推定し、地域のカジノ市場予想を導き出します(回帰分析など)。
関東、関西にそれぞれ1つのIRを設置した場合、2施設合計の営業利益は保守的に見積もっても年間3000億円レベルと予想されます。重要な点は、こうした大都市部だけでなく、北海道、沖縄のIRも十分な収益性が期待できる、ということです。北海道IRは売上高2000億円、営業利益500億円、沖縄IRはそれぞれ1100億円、200億円の予想です。
繰り返しになりますが、日本のIRは高収益がほぼ約束されている事業なのです。日本のように、大規模な個人金融資産量を有する国で、中央政府が適切に施設数をコントロールする場合、事業者はほぼ確実かつ永続的に利益を確保できます。
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