アジアのカジノ市場、その突出した成長力 フィリピンでIRの建設ラッシュが始まった

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2013年に開業したフィリピンのSolaire Casino。マニラ湾ではカジノリゾート開発が進行中(写真:AP/アフロ)

カジノ産業でもアジアは世界の成長センター

アジア、北米、欧州の経済規模はおおむね拮抗しています。GDPを比較すると、アジアが約20兆ドル(現時点でカジノが合法化していない日本を除くと約15兆ドル)、北米が約19兆ドル、欧州(EU28カ国)が約17兆ドルです。一方、カジノ市場はアジアが6.2兆円、北米が7.2兆円、欧州が7500億円です。

アジア、北米はかつて禁止していたカジノを解禁し、ゼロから制度設計し、戦略的に産業として育成しました。重要なポイントは、カジノの収益力を施設の集客力にフィードバックする仕組みを取り入れたことです。行政側が施設の設置場所と量を適正にコントロールしつつ、カジノ売上税を低く設定し、事業者に再投資余力を与えました。そして、マカオ、ラスベガスに代表されるようにクラスター効果(集積効果)、シンガポールのIRに代表されるような複合施設効果を創出したわけです。

アジアのカジノ市場の成長力は突出しています。2015年にはアジアが北米を超過する可能性は十分にあります。アジアのカジノ市場成長の原動力は、高い経済成長と個人金融資産量の増加に加え、カジノ施設の供給が依然として需要を下回るエリアが多く(アンダーサプライ)、施設量の計画的な拡大が市場を牽引するためです。

一方、米国のカジノ市場は、本連載の第5回(過当競争に陥るアメリカのカジノ。なぜ米カジノ大手はアジア進出に熱心なのか)で説明したように、州、部族民政府間の競争の結果、カジノ施設数が930まで増加し、過当競争に陥り、市場成長余地は限定的です。一方、欧州のカジノ市場は第6回(地方都市が目指すIRは、欧州から学べる。カジノ発祥の欧州、市場縮小が進むワケ)のように、相対的に小規模なうえ、縮小傾向にあります。

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