次に、カジノゲーミングとノンゲーミングの構成比ですが、アジアではカジノゲーミングが8~9割、ノンゲーミングは1~2割です。一方、米国ではゲーミングが4割、ノンゲーミングが6割と逆転しています。この違いの背景は、カジノの競争環境、収益力です。アジアではカジノゲーミングの収益力が高いため、ノンゲーミングは収益獲得より集客に専念する役割です。アジアではノンゲーミングが集客エンジン、ゲーミングが収益エンジンの位置づけです。一方、米国ではカジノが過当競争に陥り、収益力が低いため、ノンゲーミングが収益を稼ぐ必要があります。日本は制度上、カジノの収益力が高く維持されますので、アジア同様のビジネスモデルになる見通しです。
日本のIRは世界でも前例がないほど好条件
日本のIR、カジノの事業化は世界でも前例がないほど、好条件に恵まれています。背景は、①巨大な日本人市場を背景としたカジノの収益力の高さ、②日本の文化コンテンツ・観光産業(クールジャパン、ビジットジャパン)の魅力、③超低金利(カネ余り)と金融市場からの資金調達の容易さ、④IR開業までの十分な準備期間、⑤アジア全域にカジノ運営の経験とノウハウが蓄積されており、それを人材リクルートやコンサルタントを通して調達できる、⑥日本企業の高い技術力が活用可能(日本企業は世界のカジノに製品やサービスを供給した多くの実績を持ち、また最先端のITセキュリティ技術を持つ)――など。
日本のIRは指定区域内のみならず、自治体の広域な都市開発と連動すべきです。また、IRはカジノという社会的な負の側面を持つ、特殊な収益エンジンを活用します。IRをリードする事業者には高いレベルの地域社会からの信頼、地域ステークホルダー間の調整力、そして公共性が求められます。逆に、それらはIRを成功させるために最も重要な素養です。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら