カジノを日本主導で進める時間的余裕は十分 外資に依存せず、日本企業が取り組むべき

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カジノ運営ではスタッフの教育も重要な要素(写真:アフロ )

IRを主導する事業者に求められる要件とは?

今回が本連載の最終回になります。最初に日本のIR、カジノの事業特性を総括し、その上で、どのような事業者の参画が望ましいかを考察します。

IRを実現する重要な政策目的は、日本、地域の文化、サービス、技術、観光資源の魅力を世界に発信すること、すなわちクールジャパン、ビジットジャパンへの貢献です。また、日本のIRは指定区域内のみならず、自治体の広域な都市開発と連動することが重要です。

IRはカジノという特殊な収益エンジンを活用する事業です。カジノは人間の本能、すなわち射幸心を刺激し、国民の個人金融資産の一部の移転を受ける事業です。カジノは勤労意欲減退、依存症、反社会勢力、青少年への影響など社会的な負の側面を持ちます。むろん、社会的な負の側面に対しては厳格な対策が導入される方向です。

日本のIRは高収益がほぼ約束されています。詳しくは、本連載の第8回(日本のカジノは、最大2.2兆円産業になる)、第9回(日本のカジノは高収益が約束されている)の通りです。2020年以降の日本のカジノ市場は1.2兆~2.2兆円の予想です。施設数が3~4カ所の場合が1.2兆円、10カ所の場合が2.2兆円です(施設数はIR議連の考え方)。関東、関西それぞれ1施設の合計の営業利益は年間3000億円レベルの予想です。

IRは日本、地域社会に対して大きな責任を負う、巨大なキャッシュフローの運用事業です。IRを主導する事業者には日本、地域の成長戦略に再投資し、社会の課題解決に最大限、貢献することが求められます。IRを主導する事業者には、高いレベルの公共性、地域社会からの信頼、地域ステークホルダー間の調整力が求められます。逆に、これらが日本のIRを成功させるために最も重要な素養です。

IR実現に必要な経験ノウハウとは?

IRの実現プロセスでは自治体が中心的な役割を果たします。まず、IR誘致を望む自治体が国に対して手を挙げ、国が自治体を選び、その自治体が事業者を選びます。IR実現を目指す事業者(コンソーシアム)は、国、自治体が求める要件をクリアする必要があります。国、自治体はIRの成功を確実とするため、事業者(コンソーシアム)に対して「経験ノウハウ」を望む可能性があります。

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