「カジノ熱」は冷めやらず
シンガポール都心部の湾岸エリア。そのランドマークとなっているのが「マリーナ・ベイ・サンズ」である。大手通信会社のテレビCMのロケ地(撮影場所)にも使われたことから、ご存じの方も多いだろう。3つの高層ビルの上に巨大な船が乗っているようなユニークな建物となっており、屋上には「天空のプール」が広がっている。
マリーナ・ベイ・サンズの中には、2500以上の客室数を有するホテル、ブランドショップやレストランが並ぶショッピングモール、世界的有名ミュージカルを観劇できる劇場、最大4万5000人を収容できる会議場、そしてカジノまでもが入っている。これこそが今、日本において導入が検討されている、カジノを含む統合型リゾート施設(IR:Integrated Resort)のひとつの形である。
現在、日本で合法化されているギャンブルは、競馬、競輪、ボートレース、オートレース(小型自動車)と宝くじ、totoのみである。したがって、日本でカジノを含むIRを導入するためには、特定の区域に限って賭博行為を合法化する法律改正が必要となる。これを法制化しようとしたのが「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法)であり、2014年秋の臨時国会での成立が目指されていた。
2014年11月21日に衆議院が解散し、当法案はいったん廃案の形となったが、法案を提出した超党派議連「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連)は、IRの導入を2020年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合うよう「最大限努力」する姿勢を示している。2015年の通常国会に向けて、日本全国で再び「カジノ熱」が盛り上がってくるだろう。今回は、「カジノ熱」が日本経済にどれほどのインパクトをもたらすかを、考えていきたい。
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