「私はどちらでもよいので、決めてください」「ご都合に合わせます」が口癖になっている方、いらっしゃるのではないでしょうか。特にまだ関係が深まっていない人との間では、遠慮の気持ちから、ついつい発してしまうことも多くなるかと思います。
謙虚で美しい対応かもしれませんが、これを続けていると、まず「自分の気持ち」がつかみにくくなります。「表出しない感情は退化する」と言われているように、自分の感情を表現しないと、自分の気持ちがわかりにくくなってしまうのです。
「退化」といっても、この気持ちは、なくなったのではありません。押し込められて、わかりづらくなっているだけ。ですから、知らず知らずのうちにストレスをため込んでいることにも気づきにくくなります。そうなると、自分が疲弊した状態を放置してしまうことになりかねません。
「嬉しい」「楽しい」感情もストレッサーに?!
誰かと一緒に外食をするとき、メニュー選びの場面でこの傾向が強いかどうかわかります。「AランチとBランチあるけど、どっちにする?」「食後に200円でコーヒー付くみたいだけど、どうする?」などと、まず相手に聞いてしまう方は要注意。自分が何を食べるか、コーヒーを飲むかどうかなどの選択に、まず相手の意向を確かめてしまう言動をしてしまう方は、「他者優先」が行き過ぎ、自分を大切にできていない傾向があります。
思い当たる方は、「自分はどう感じているのか」「自分はどうしたいのか」を自問自答する時間を作るよう心掛けてください。心身の不調に陥ってはじめて、自己理解の不足に気づく……なんてことになりかねませんので、外に目が向きがちな今だからこそ、積極的に自分と向き合うことが重要です。
ストレスの原因となるもの(ストレッサーと言います)は、なにも「嫌なこと」「悲しいこと」「辛いこと」だけではありません。実は、ストレッサ―になり得るのは、マイナス感情よりむしろ「変化」という刺激です。通常の状態に変化を及ぼす刺激こそが、ストレッサーの正体。だから、「嬉しい」ことや「楽しい」ことも、すべてストレッサーになるのです。
ということは、環境の変化する時は、自然とストレスが溜まりやすくなります。異動や転勤の後、非常にわくわくする環境変化であっても、「うつ」を発症するようなケースは珍しくありません。
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