なぜいまだ健在?ビデオカメラ「起動音」の謎 フォーマルな席での「トラブル要因」なのに…
実は筆者も起動音で失敗したことがある。2014年に民放連の技術発表会に取材で出席した際、行きがけに発表記録用として、ソニーのアクションカム「HDR-AS100V」を購入していった。
すでに最初の発表は始まっていて、後ろの席に静かに着席し、箱を開けてカメラを起動したら、盛大に「ポリプロピレーンピレンピレン」という起動音が鳴り響いて、一斉に注目を浴びたことがある。出席者は全員テレビ技術者なので、これは超恥ずかしかった。
デフォルトで起動音が全力で鳴る仕様というのは、本当にやめてほしい。
いつからあった? 目的は? 起動音の歴史
そもそも、ビデオカメラはいつから起動音を発するようになったのか、定かではない。うちで最初に購入したビデオカメラは、1996年発売のソニー「DCR-PC7」であったが、おそらくその時も何らかの起動音はしていたような気がする。
起動音が必然である理由も、よくわからない。デジカメの方は伝統的に起動音がしないので、これはビデオカメラ独特の慣習であるように思う。おそらく想像だが、デジカメの場合は電源を入れればレンズが出てくるといった物理的アクションが起こるのに対し、ビデオカメラはそういうアクションがないから、という理由は考えられる。
ソニーのハンディカムでは、2008年の「HDR-TG1」のあたりから徐々に、電源ボタンを使わなくても、液晶の開閉だけで電源が入るようになっていった。携帯電話的な動作を取り入れたものである。これ以降、他社でも液晶の開閉で電源が入るタイプが増えたこともあり、起動したことをユーザーに知らせる必要性があるということかもしれない。
だが、液晶を開くというアクションを行えば、ユーザーの視点はまず液晶画面に向けられる。起動するとすぐにメーカーロゴが表示されるわけだが、それによりカメラが起動したことは確認できるはずだ。
もちろん、起動すればどこかのLEDが緑に光るとか、音以外にも起動中を知らせる表示は多い。今となっては、音で起動を知らせる積極的な意味というのは、失われている。なければ困るというものではなく、今となっては大きなお世話な機能になってしまっている。
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