企業のアプリは不要?Facebookの強烈戦略 「メッセンジャー」が、すべての窓口になる

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「Bots for Messenger」は、立ち上げ当初、アラスカ航空、KLM航空、ハイアット、Uber、Lyftといった旅行に関するサービス、MLB、NBAといったスポーツ関連、FANCY、ウォルマートといったショッピング関連、CNN、バズフィードといったメディア企業が参画している。

例えば、アパレルブランドの「Spring」の活用例は、メッセンジャーの中で、欲しいアイテムを見つけてもらい、購入できるようにする仕組みだ。

ユーザーがSpringと会話を始めると、まず「何を探しているの?」と問われる。返信には「服 | 靴 | アクセサリー」という選択肢のボタンが現れ、ユーザーが「靴」を選ぶと、「スニーカー | ローファー | ブーツ」とカテゴリの選択を促される。「スニーカー」を選ぶと、次に価格帯、価格帯を選ぶと、商品の候補がカルーセル(横並びのスライドショー)で表示される。候補となる商品を横スクロールで選ぶと、サイズなどを選ぶ購入画面が現れ、決済が終わると、メッセージでレシートが送られてくる。ここまでの体験は全て、メッセンジャーアプリのSpringとの会話の中で展開される。

プラットホームの工夫としては、メッセージのフォーマットとして「選択肢」を用意できるようにしたこと、そして複数の候補をビジュアル付きで表示するカルーセル機能がついたことが挙げられる。また、「Poncho」というユニークな天気サービスの例では、企業がよりフレンドリーなキャラクターとして振る舞い、ユーザーが位置情報を送ると天気予報と面白い画像を返してくれる仕組みが披露された。

フェイスブックは「Bots for Messenger」で、こうした会話エンジンを簡単に実装できる仕組みを提供。加えて、将来的には音声認識・音声読み上げの組み合わせで、実際の会話によってサービスを提供することも可能だ。さらには人工知能を活用して個人の趣向を学習するボットに成長する可能性もある。

背景にあるのは「新興国でのスマホの使い方」

フェイスブックでメッセンジャーを担当する副社長のデイビッド・マーカス氏は、過去のテクノロジーが面倒で迷惑なものになる例を示した。当初サービスは対面の会話や電話で受けていたが、これがウェブに置き換えられ、自宅やオフィスのデスクの上でしか使えない点が不便になった。モバイルウェブは場所の制約を取り去り、アプリはウェブ以上に高度な顧客体験を提供でき、ロイヤリティを高めることができるようになった。

しかしアプリを入れなければならないという障壁はなくならない。特にスマホの容量が小さく通信速度が遅い地域で使っている人々にとって、アプリはすでに障壁になっている。例えば中国や東南アジア、インドなどでは、よく使うECサイトであっても、使い終わるたびにスマホからアプリを削除するという。

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