ポーラ「THREE」の仕掛人が最後に挑むこと 世界で通じる日本発ブランドを作る

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風向きが変わったのは、2013年のこと。アベノミクスによる景況感の好転で、華やかなメイク商品が売れ始めた。店舗数の拡大もあって売上高は毎年2ケタ増という勢いで伸び、消費増税の影響があった2014年もファンデーションの大ヒットが寄与して売上は前期比5割増となった。

今や国内店舗数は70店にまで増加し、並み居る強豪を押しのけて化粧品フロアの売り上げナンバーワンに君臨する店舗もある。課題だった収益性も、生産量の増加と生産委託によって、やっと黒字化するところまで見えてきた。

目指すのは日本発、世界で通じるブランド

東京都渋谷区にあるTHREEの旗艦店。 オーガニック原料のスキンケアと都会的なメークで急成長している

海外の注目も高まっている。2013年にはタイの百貨店に海外初出店し、今やバンコクでは東京都心よりも多い13店を展開する。日本製のブランドとしては、資生堂、「SK-Ⅱ」(P&G)に次ぐ人気だ。

すでに、台湾やインドネシアにも進出し、4月からは海外20店舗目となるマレーシアにも挑戦する。狙うのはメイド・イン・ジャパンが人気のアジアだけではない。

石橋はこう語る。「日本の製造業は世界で高い評価を受けているが、化粧品をはじめとしたファッション系はまだ弱い。そして今、やっとアジア人がその良さに気づき始めた。次は、化粧品の本場である欧米で評価されるかどうかがキモになる」

今やTHREEはパリやロンドン、北米の名だたる百貨店からも声がかかる。今後は、ポーラ・オルビスグループが持つ現地インフラの活用しながら、提携先を見つけ次第、進出先を増やしていく計画だ。

「世界で通じる日本発ブランドを」――。石橋が40年余りをかけて追い求めた夢が実現する時は、目前に迫っている。

(撮影:梅谷秀司、敬称略)

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

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