ポーラ「THREE」の仕掛人が最後に挑むこと

世界で通じる日本発ブランドを作る

再成長に向けた秘策が、2006年の持ち株会社体制への移行とともに始めた“マルチブランド戦略”だ。販売チャネルや価格帯が異なる複数ブランドを並行展開することで、ひとつの販路に頼らず、経営を安定させることを狙った。

ポーラ・オルビスの鈴木郷史社長から、「石橋さんが作りたいブランドを具現化しよう」と持ちかけられ、石橋は二つ返事で引き受けた。2007年にポーラ・オルビスへ移り、第二のスタートを切った。

ゼロからのブランド設立を任された石橋が目指したのは、世界で通じる日本発ブランドを作ることだ。日本発を謳うためにはまず日本人に評価されなければならない。

日本製の安全と品質が世界へ行くための武器になる

看板商品のクレンジングオイルには、国産の茶の実から作った精油が使用されている

考え抜いた末に、石橋は日本製ならではの安全・高品質を全面的に押し出すことにした。

「身土不二」(人の体と土地とは切り離せないこと)、「地産地消」(その地域で生産されたものをその土地で消費すること)という2つの思想を掲げ、国産原料にこだわり抜いた。

試作品を作るためにまず向かったのは、静岡県の茶畑だ。スキンケア商品に配合する精油の原料として、茶の実から採れる「ティーシードオイル」が最適だと考えたが、国産のものは流通していなかった。

そこで当時まだ数人しかいなかったスタッフとともに茶畑をかき分け、手作業で実を拾い集めた。他にも、青森の白神山地からクマザサ、沖縄・与那国島から化石サンゴと、産地に足を運んで、名品を厳選していった。

素材にこだわった分、コストもかかる。化粧品業界では生産者原価(原材料費、容器包材、研究開発費)が一般的に2割前後と言われるが、THREEの場合は、「6800円の乳液で、ほかメーカーと同じくらいの利益を出そうとしたら、1万2000円くらいで売る必要がある」(石橋)。

見た目にも妥協はしない。グレーを基調とした、シンプルなデザインで統一。外箱には和紙を用い、ボトルは一般的な樹脂製ではなくガラス製だ。

試行錯誤を経て、石橋は2009年にTHREEを立ち上げた。前年のリーマンショックによる消費の冷え込み、東日本大震災などの影響もあり、当初の売れ行きはいまひとつだった。

次ページ収益的にも黒字が見えてきた
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成長を確実にする組織の根幹を成すのが、研究開発と人事である。研究開発体制は2015年4月、各研究所に横串を通し、顧客起点の組織に生まれ変わらせた。人事制度もグローバル化がほぼ完了。踊り場から飛躍へ、日立の地固めの様相を追う。