花王、アキレス腱の化粧品を立て直せるか 業績好調の中で目立つ不振
花王が化粧品事業のテコ入れに本腰を入れ始めた。8月26日に発表したのは、看板ブランド「ソフィーナ」の新ラインとなる「ソフィーナ iP」の美容液とドリンク。11月に銀座「アップルストア」の隣に初となる旗艦店をオープンし、新ラインの展開を始める。2016年1月からは全国の百貨店で発売していく。
澤田道隆社長は7月28日の中間決算会見で、化粧品事業の取り組みを「今後20年、30年先まで支える改革になる」と語っており、今回はその第一弾。新しい美容液は、メイク時に化粧水をつける”前工程”として提案し、百貨店の購入単価アップにつなげる狙いがある。
子会社のカネボウも苦戦
花王全体では、幼児用紙おむつ「メリーズ」や生理用品の「ロリエ」などが好業績を牽引。通期で過去最高益を更新し、国内企業としては最長の「26期連続増配」を達成する勢いだ。
それだけに、化粧品事業の不振が目立つ。2015年6月期の中間決算は過去最高の営業利益600億円を計上した一方、化粧品事業は154億円の赤字だった。2006年に買収したカネボウ化粧品ののれん代などを除いても27億円の赤字。主因は、2013年の「白斑問題」で客離れが進むカネボウの不振だが、ソフィーナの赤字分もある。
化粧品事業の売り上げは約2600億円(2014年度実績)と資生堂に次ぐ2位につけるものの、店頭売り上げベースのシェアが低下。また、業界全体が訪日観光客の需要に潤う中、花王は思うようにそれを取り込めていない。
石鹸・洗剤の花王が化粧品事業に参入したのは1982年のこと。イメージ先行型で華やかな広告宣伝を展開する資生堂やカネボウに対し、卵の殻にファンデーションを塗り重ね、肌の断面図を示して効能を謳うソフィーナのコマーシャルは話題を呼び、「業界の異端児」として頭角を現した。
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