※前回記事:もう企業は信じない?米国の若者の「悟り」
前回記事では、米国の若者世代・ミレニアルズたちの間で、「フリーランス志向」「起業家志向」が強まっているという状況を紹介しました。今回の記事では、そうした状況に企業側がどう対処しているか、また若者たちの間で増えている「社会貢献志向」についても分析してみたいと思います。
社内起業家制度でミレニアルズを取りこめ
起業家魂を持った人をセルフスターターと呼びますが、そうした優秀な人材を求める企業が着目したのが「社内起業家」です。
若く優秀な人材を社内の重要なプロジェクトのリーダーに抜擢し、自由に采配を振るわせる、このやり方は特に同世代、ミレニアルズに対するマーケティングや商品開発に取り入れられ今脚光を浴びています。独立志向、起業志向でリーダーシップを持つミレニアルズに、企業の中で活躍してもらおうという試み。逆に言えば伝統的なトップダウンの企業体質に合わないミレニアルズが増えたため、彼らをなんとかして取り込もうという対応策でもあります。
もともとはアップルやマイクロソフトなどのハイテク企業から生まれてきましたが、最近は伝統的な製造業にも及び、つい最近はラム酒で知られるバカルディが社内起業家制度を発表して話題になりました。
ミレニアルズの職業意識の変化につれて、仕事のスタイルも変わってきています。
少し前まで社員が会社に求めるのは、仕事とプライベートをはっきり分けてそのバランスをとる「ワーク・ライフ・バランス」でした。9時から5時までの仕事が終われば、まっすぐ家に帰って家族で食事し、仕事を全く忘れてプライベートな時間を楽しむ。これは伝統的な米国人のライフスタイルであり、アメリカンドリームの象徴でもありました。
ところがそれが急速に変化しつつあります。インテリジェンス・グループ(Intelligence Group)の調査によれば、ミレニアルズの88%が「ワーク・ライフ・インテグレーション(融合)」を志向しているといいます。つまり仕事と生活を分けるのではなく、どうやって融合させていくのか?ということに興味を持っているというのです。