その背景にあるのがテクノロジーの発達です。例えばスマートフォンの普及で就業時間後、家に帰った後もメールを携帯でチェックする事が多くなりました。
CBSテレビと雑誌バニティフェアの調べでは、「就業時間外でも仕事メールのチェックは当たり前」と答えた米国人は55%で過半数を超え、これが30歳以下のミレニアルズになると7割に跳ね上がります。考えてみれば1台のスマートフォンを、仕事とプライベート両方に使っている、つまりスマートフォンの中では両方が共存しているわけで、2つを完全に分けることが現実的でなくなってきたのです。
一方でテレコミュート(自宅勤務)も大きな要素です。テレワーク・リサーチ・ネットワークの調べでは実に3000万人が1週間に1度はテレコミュートし、その数は今後5年間に1.5倍以上に増えると予測されています。特に小さな子供がいる母親にはフルタイムのテレコミュートを認める企業も多く、女性の継続雇用に大きな力になっています。前の方で述べたフリーランスの増加も、自宅勤務の人が増える原因になっています。
またテレコミュート以外に、企業によっては社員にオフィス以外、例えばカフェなどでの勤務を認めたり、子供たちと一緒に社員食堂でランチをとってOK(グーグル)だったり、社員のライフスタイルに合わせた仕事のスケジュールの相談に乗ってくれるアディダスような企業もあります。お仕着せでなく自分にあったスケジュールで仕事をしてもらった方が、会社としても業務の効率が上がり、いい人材を得ることができるという考え方が浸透しつつあるのです。
こうなると、家族と一緒の時間や家事、それ以外の自由時間と、仕事の時間をどうバランス良く組み合わせていくかというワーク・ライフ・インテグレーションは不可欠になってきます。
ネット記事などでは、「例えば午後ランチの後眠くなる時間にジムでエクササイズをしたり、子供が寝て静かになった時間に仕事をして効率を上げるといい」などのアドバイスをしています。
一方こんな風に仕事とプライベートの境界が見えなくなって来るにつれて、仕事着も全体にカジュアル志向になってきていくなどの傾向も見られています。
そんな中で上司や同僚との関係も変わりつつあるようです。若者のうち8割は上司はコーチまたは先生のような存在であってほしいとし、9割が競争するより協力する仕事環境を求めています。
オフィスのレイアウトもかつてのような個室やキュービクルは時代遅れになり、大部屋のコミューナル・テーブルに上司も一緒にノートパソコンを持ってきて仕事するオフィスも増えてきています。なんとなく日本の大部屋オフィスのようになってきている気がします。
堅苦しさを嫌い、リラックスした職場環境を求めるのも、プライベートと仕事の境界が見えなくなっている事の現れかもしれません。
社会貢献が人生の目標
フォーブス誌に2015年に掲載された、ミレニアルズが働きたい会社トップ10を見ると、興味深い傾向に気付きます。
9位 Health Care Service Corp
8位 CIA
7位 マイクロソフト
6位 Local Hospital
5位 FBI
4位 APPLE
3位 Sr. Jude Children’s Research Hospital
2位 Walt Disney Company
1位 Google
1位グーグル、2位ウォルト・ディズニー、4位アップル、7位マイクロソフト、この4つは当然にしても、注目して欲しいのは3位の聖ジュード小児病院(St. Jude Children’s Research Hospital)。重病の子供を無償で診療する大病院として広く知られています。これを筆頭にトップ10のうち4つが病院などのヘルスケア関連です。