米国ではここ数年「若者の車離れ」が度々報道されています。ミシガン大学の調査によれば、2014年に運転免許を持っていた20~24歳のミレニアルズ世代は全体の77%。前年の79%、2008年の82%、さらに1983年の92%に比べるとはっきりと減少傾向にあることがわかります。
前回記事では、ミレニアルズの約半分が「アメリカンドリーム」が失われたと感じていると書きました。それははっきりと消費にも反映されています。アメリカンドリームを象徴する「車」と「家」を購入するミレニアルズが減ってきているのです。一方で「所有」することから「共有する」いわゆるシェアリング・エコノミーがもてはやされています。
米国の消費を担ってきたベビーブーマーがリタイアした後、その子ども世代として、さらにベビーブーマーを超える巨大な世代グループとして、これからの消費の中心になっていきます。ミレニアルズの1年間の消費総額は2千億ドル、親世代への影響力を含めるとトータル6千億ドルの消費に影響を与えていると言われています。そんな彼らがこれまでの消費で大きな位置を占めていたマイカーとマイホームから離れているとしたら?
ミレニアルズはいったいどこへ向かっているのか? 大企業もマーケティング会社も躍起になってその答えを探しています。今回はその疑問を一緒に考えていきたいと思います。
ミレニアルズは車も家も買わない?
投資情報サイト、マーケット・リアリストによれば、若者の車の所持率は2007年の77%から2011年の66%に大きく下がっています。また持ち家率も40%から33%へ減少しています。
最大の理由は若い世代に購買力がないことと分析されています。以前の記事でもお伝えしたように、ミレニアルズの7割はスチューデントローンの借金を背負って大学を卒業し、そのうち9割近くが3万~4万ドル(約400~500万円)もの借金を返しているという現状です。また16~24歳の今年2月の失業率が10.5%と、低下傾向にあるものの全年齢の2倍以上の高水準です。
また、家を買わないのは結婚年齢が高いためでもあります。結婚しているミレニアルズはわずか26%。前の世代が同じ年代だった時と比べると、ジェネレーションXは36%、その前のベビーブーマーは46%に比べて激減しています。(ピュー研究所調べ)