日本の近未来?車と家を買わない米国人たち 「アメリカンドリーム」の価値観は消えた?

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それだけではありません。2008年リーマンショックで米国の金融危機の直接の原因は、サブプライム・ローンによる住宅バブルの崩壊でした。その直後の最悪の時期に社会に出たり、住宅ローンに苦しむ親世代を見てきたミレニアルズにとっては、「家を買う」という行為自体が「悪いもの」というトラウマのようなものになっているという見方もあるほどです。

その結果、昨年の米国の持ち家率は、ミレニアルズを含め全年齢で63.4%と過去48年間で最低となりました。

アメリカン・ドリームといえば、白いフェンスで区切られた郊外の持ち家で、週に一度は車でショッピングモールに買い物に行く……という時代は終わるかもしれません。というのはミレニアルズの4割は郊外ではなく都市に住みたいと志向しているからです。

レストランやスーパーマーケットも歩いて行ける距離にある、友だちも近所に住んでいる、そんな都市型のライフスタイルを望んでいるのです。一方で全米の地方都市の再開発が進み、郊外よりも都市のコミュニティのほうが成長する現象は1920年代以来とも言われています。都市なら公共交通機関が整備されているから車は必要ない、また住まいも自然とレンタルのアパートが多くなります。その結果レンタルマーケットが活況を呈し、家賃も上がっています。

「ブーメラン世代」

この春放送されたテレビのコメディドラマ「クラウデッド」は、大学入学と同時に独立した2人の娘が、卒業しても職が見つからず、家に舞い戻ってくるところから始まります。かつての米国では、成人した子どもが親と同居するのはちょっと恥ずかしいという感覚がありました。ところが今一度独立した子どもたちが戻って来る「ブーメラン現象」が起こっているのです。

大学を出ても家賃とスチューデント・ローンの両方を払うだけの十分な収入が得られない若者たちは、実家に戻る道を選んでいます。ピュー研究所の2014年の調べでは、ミレニアルズの女性の36%、男性の43%が親と同居、2007年の26%と32%に比べると大きく上昇しています。

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