景気の回復にもかかわらず年々上がり続けているのは、結婚年齢の上昇とも関連していると分析されています。おカネがなくて仕方なく、という理由が大半を占めてはいるものの、親との同居は恥ずかしいという感覚がなくなってきているのも事実です。
かつての米国人といえば、クレジットカードでばんばんモノを購入するイメージがあったと思いますが、若者がクレジットカードを取得する率も減っています。2001年には同年齢の50%がクレジットカードを持っていたのに比べ、2010年には39%にまで減りました。すでにうんざりするほどのスチューデント・ローンを抱えて社会人になるわけですから、当然かもしれません。ミレニアルズは借金というもの自体に懐疑的と考えられています。
フォーブスの記事は面白い比較をしています。ミレニアルズのおカネの使い方は、すぐ上の世代ジェネレーションXでもベビーブーマーでもなく、1920~1940年代に生まれた「サイレント・ジェネレーション」に似ているというのです(米国の世代の詳細は1回目記事を参照)。
彼らは1930年代以降の大恐慌の時代に育っています。そしてミレニアルズも同様にリーマンショックを経験し、おカネや投資に関して保守的になっているというのです。その例として、ミレニアルズの資産の過半数が現金、株は3分の1以下、残り15%が国債や社債などの債券だと言います。最も信頼できるのは現金というわけです。
ソーシャルセキュリティなど社会保障の崩壊などが報道される中、ミレニアルズはおカネに関してこれまでになく保守的になっていると考えられています。
景気回復でも消費の形は戻らない?
ではこのような状況は、景気がもっと良くなれば変わるのでしょうか?
J.Dパワー&アソシエイツは、ミレニアルズの車の購買は再び上昇傾向になっているというデータを報告しています。しかし2015年の車の売り上げ全体に21~38歳のミレニアルズが占める割合は28%で、1985年に同じ年代が占めていた割合が38%だったのに比べると、大きく下がっていることがわかります。
こうした大きな流れを踏まえると、もし景気が上昇したとしても、1世代前のようには戻らないかもしれないという意見も少なくありません。
その理由としては、失業率が下がり給与が多少上がっても、スチューデントローンが劇的に減ることはないし、結婚年齢が突然下がることも考えられない。さらに、これまで述べてきたような格差の拡大やフリーランス労働者の増加などで、経済自体の構造が変化していることも理由に挙げています。