400万台に代わるマジックナンバーはない ゴーン社長、EVの“一発逆転”シナリオを語る
――かつて、自動車会社が生き残るには400万台以上の生産規模が必要だと言われました。「400万台クラブ」に代わる新たなキャッチフレーズは何だと思いますか。
小規模なメーカーが競争するのは難しくなっていくでしょうね。理由は二つあります。まず、環境技術が多種多様化し、安全技術への要求も高まっている。これらに対応するには規模が小さいと難しい。もう一つは部品サプライヤーとの関係です。多くが経営難に陥り、一部は米連邦破産法を適用しています。メーカーとサプライヤーとの間でより大きな規模、より長期の契約を結ぶことが必要になってきている。これは大手のグループでしかできません。
何百万台あればいいというマジックナンバーはないと思います。ただ、どんな規模であれ、私たちはそれを超えている。日産自動車、ルノー、アフトバス社(露)のアライアンスは2008年度に680万台の総販売台数となり、世界で3番目に大きい自動車グループです。課題があるとすれば、この規模をいかに機能させるか。ルノー日産のシナジー効果をもっと創出することが重要です。
単純な例を挙げましょうか。物流です。ルノー日産アライアンスでは、物流面で発足からこれまでで年間平均30億円のシナジー効果(節減額)を上げてきました。この数字が来年、100億円になる予定です。
なぜか。シナジー効果を大きくするために極めてスリムな少人数の専門チーム(11人)が発足しました。今、完全な専任者が物流を担当し、企画の初期段階からシナジーを創出しようとしているんです。
売れる車はハイブリッドだけではない
――ルノー日産はゼネラル・モーターズの「サターン」ブランドに関心があるとうわさされました。
まったく根拠のないうわさにすぎません。ただ、うわさの出所はわかっています。(米国大手ディーラーの)ペンスキー氏がほかの関係者とサターンブランドを運営するプロジェクトを進めていますが、彼がルノーにOEM(相手先ブランド供給)や技術の供給をしてくれないかと打診してきたことはあるのです。ただそれは別の話。日産ルノーはブランドを買収する気も参画する気もありません。
――6月の国内販売は市場全体より大きく減少しました。国内の日産ディーラーは人気のある“ホット”な車種不足に直面しています。
ハイブリッドが今話題になっていますけれど、売れる車はハイブリッドだけではないんですね。ハイブリッド以外の燃費のいい車もすべて政府からの減税とかインセンティブの対象となっている。そういったホットモデルというものをもっと提供していきたいと思います。単月では変動がありますが、私たちの国内営業部門は09年通期については自信を持って前年並みシェアを維持できると考えています。
――一方、米国の日産は市場より健闘しましたが。
まずまずです。市場シェアが若干拡大したけれども、特に喜ぶほどのことでもありません。
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