4部門を統合する日産とルノーの皮算用 年6000億円の費用削減効果を想定

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ルノーと日産自動車のCEOを兼務するカルロス・ゴーン氏の手腕が問われている

今度こそシナジーを生み出せるのか。

仏ルノーと日産自動車は、4月から研究開発、生産技術・物流、購買、人事の主要4分野について、機能を統合する。両社はこれまでも、戦略合弁会社のルノー・日産会社(RNBV)を設立するなど、購買を中心にさまざまな分野で共同運営を進めてきた。今回、この4分野について、ルノー・日産の双方を統括する担当副社長を新たに配置し、連携をより強化する。

たとえば、研究開発では、新しい設計手法である「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」の開発やエンジンをはじめとしたパワートレインの開発、先行技術の研究開発などを統合。それぞれの強みを生かしながら、重複部分の削減で研究開発投資の圧縮を狙う。具体的な商品開発などについては引き続き、それぞれの開発部門が担当する。担当副社長には、日産の山口豪(つよし)現執行役員が就任する。

共同購買などによる費用削減効果は、2012年度で年間26.9億ユーロ(約3800億円)だったが、4分野の機能統合に2014年度以降は年間43億ユーロ(約6000億円)を見込む。

進まない部品共通化

ルノーと日産は、1999年の提携以降、部品の共通化・モジュール化や共同購買を通じてシナジーを狙ってきた。が、部品の共通化についてはあまり進んでいない。鳴り物入りで導入を始めたCMFについても、第1世代は日産主導、第2世代はルノー主導と、実態としては別々の開発になってしまっている。

日産を主力とするサプライヤーからは、「(ルノーに供給する)グローバルの大手サプライヤーとの受注競争になると危惧していたが、結局、競合はほとんどない。逆にルノーの仕事も取れていない」「共通部品と言いつつ、ルノー用、日産用と独自設計が入り、別部品のようになり量産効果が期待ほど出ていない」と、安堵とも失望とも取れる声が漏れる。

あるサプライヤーは、ルノー・日産の一括購買を前提に、競合サプライヤーと合弁会社を設立した。が、結局は別々の発注となっていたため、合弁を解消した。ルノー・日産の語るほどには、シナジーは出せていないとの評価が多い。

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