4部門を統合する日産とルノーの皮算用 年6000億円の費用削減効果を想定

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今回、統合に一段と踏み込んだ背景には、日産、ルノーともに業績が停滞しているということがある。

日産はリーマンショックで営業赤字に落ち込んでから、2011年3月期までは順調に復調したが、その後は伸び悩んでいる。空前の円安で日系競合他社が最高益をうかがう中、2014年3月期は横ばい止まりだ。

ルノーはさらに深刻だ。おひざ元の欧州での経済危機も響いて、リーマンショック以降、営業損益は赤字と黒字を行き来している。

ルノー・日産連合は自動車販売台数こそ世界4位のグループながら、利益水準では、フォルクスワーゲンなどのドイツ勢やトヨタ自動車に対して、大きく見劣りしている。追いつくためには、一段のシナジーが必要というわけだ。

実態はルノーの救済?

統合がもくろみどおりに進めば、ルノーと日産の合計で見た場合、利益水準の向上は期待できる。ただ、日産単体からみれば必ずしもメリットばかりではない。たとえば、生産の最適配置を理由に、2016年から欧州向けマイクラ(日本名:マーチ)の生産をインドから、欧州域内にあるルノーの工場へ移管するが、これは、実質的に稼動率が落ち込んでいるルノーの工場に対する支援だ。

日産幹部は「ルノー・日産全体で見てシナジー効果により1台当たりの生産コストが引き下げられれば、その果実は生産台数に応じて両社に案分される。必ずしも日産側に不利になるわけではない」と強調する。だが、ルノーの苦戦ぶりを考えれば、ルノーの立て直しに日産の経営資源が割かれるようなケースが増える懸念は残る。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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