400万台に代わるマジックナンバーはない ゴーン社長、EVの“一発逆転”シナリオを語る

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――日産は8月2日に新型電気自動車を発表します。驚くような価格を期待してもいいのでしょうか?

あなたの言う「驚くべき価格」ってどれくらいですか(笑)。

――従来の自動車と同じくらい。

そうですよ、そうなります。できます。従来の自動車に比べて電気自動車が50%割高な車だったら、もう失敗です。誰も買ってくれません。ニッチの車を買うようなものです。私たちの意図は、何も電気自動車をニッチカーにすることではありません。ニッチカーとは何か?5%以下のシェアしかない車ですよ。

割高でも中には買ってくださる方もいらっしゃるでしょう。ゼロエミッション(走行中は有害な排ガスゼロ)だし、環境負荷もないし、社会的責任の象徴にもなりますし。ただ、お客様は結局のところ、自分の予算内で賢明な選択をするわけですから、電気自動車を浸透させるには、妥当な価格でなければならない。ですから、もし電気自動車が妥当な価格であれば皆さんが驚くのなら、驚かれると思います。

ただ、私たちは、バッテリー付きで車を販売するわけではありません。“車両”を販売して、バッテリーはリースです。この仕組みで考えている。なぜかというと、バッテリーを交換したり、将来新世代のバッテリーを投入することが私たちのビジネスになるからです。だから、(高価なバッテリーを除けば)車両価格は、従来の車とそれほど大きな差はない。2~5%の差ぐらいに収まればいいと思っている。

バッテリーのリースについて申し上げましょう。バッテリーのリース料+(走行用の)電力料金。この合計価格は、従来のガソリン代よりも安くなるはずです。それが私たちの数式です。車両価格が従来の車とほぼ同等で、バッテリーのリース料と電力料金の合算がガソリン代よりも安いのならば、お客様にとって経済的によい条件になると思います。割高な電気自動車を投入することは、競合他社でどうぞ、ということですね。

自動車メーカーと行政の連携が必要かつ重要

――世界中にその“数式”を適用するのですか?

そうです。ただ、政府次第というところもある。というのも価格の話には政府からの助成金や補助金も入っているからです。フランス政府は、電気自動車1台当たり5000ユーロの補助金を出してくれます。そのうえで電気自動車が従来の車と同じ価格であれば、その数式が成り立つということです。お客様は、電気自動車を買って、しかもゼロエミッションがプレミアムとして付いてくるんだと考えるでしょう。

ですから、自動車メーカーと行政の連携が必要かつ重要なんです。それがあれば、技術が投入された初期の段階でも、お客様にとっていい選択肢になれるわけですよ。

――数年前、あなたは日産が開発したリチウムイオン電池に感動して、ハイブリッド車より電気自動車の開発優先順位を高くしたといううわさを聞きました。ベストな決断をしたと今でも思いますか?

花を見たり、音楽鑑賞では感動しますが、バッテリーを前にして心が震えることはありません(笑)。ただ私が感動したのは、日産の社員がバッテリーを開発してくれた、その一貫的な取り組み――17年もかけた取り組みに感動したんです。これこそ、「技術の日産」を認知してもらう公正なやり方だと私は思ったんです。わかっているんです。自動車市場は画期的な環境技術を待っていると。

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