万が一、もし良い結果が出なくとも、息子さんがそこから学び反省し、立ち上がる方法を体得していく絶好の機会なのです。
ここで公立中学についてのあなたのお考えにも、少し違和感があります。ご次男が公立へ行けば、あなたの不安はすべて解消されるでしょうか? 不安を先延ばしにするだけではありませんか? 私の地方では、府内1~2の私立の進学校より、公立校から偏差値の高い大学へ進む子弟もザラにいます。公立校にもいろいろランクがあるでしょうが、どこの学校へ行っても、向上心を持って挑戦し続けることなしに、成長はないのです。
ですからご次男が公立へ進んだ場合に解消されるあなたの心配ごとは、長男が次男に引け目を感じず、ゆえにその分焦らず、長男は受験勉強に打ち込めるだろうという思惑くらいでしょうか。これは次男にとっては犠牲が大きすぎ、長男にとってもよくないことです。次男は長男の唯一のライバルではありませんから。
競馬レースは先頭馬の出来で決まる
私の友人で、かなりハイソサエティに属している人がいます。ちょっと私が気遅れするほど私たちの生活環境は違うのですが、あまりにも魅力的な方なので、お誘いがあれば必ず出かけてお会いする仲になって30年です。
まず彼女は、「私は賢くないから」が口癖です。それが嫌味にならないほどいつも控えめなのですが、賢くないどころか彼女の考えはいつも賢明で堅実・正直、言葉は優しさにあふれています。
その彼女の次男が、地域の最高の進学校に合格しました。2歳上の長男は、私立でもやや偏差値が低い中・高一貫校に通っています。次男が合格したその日、彼女は二人を前に言ったそうです。
「あのね、競馬でも先頭の馬が倒れたら、関係のない後続馬も倒れるのよ。それくらい先頭馬の役割は大切なの。我が家で言えば先頭馬は長男で、長男は我が家で、つまらないことで家族がつまづかないように走る責任があるの。
通う学校の偏差値は、次男が上かもしれないけれど、それだけのこと。それを2人それぞれに、人間の値打ちに差がついたように勘違いして、兄が自信を失くしたり弟が兄を見下ろしたりすることは、絶対に許さないからね」。
「アスコット競馬場に行ってきた」と言っても違和感がない彼女の口から、「競馬レース」が出た時には驚きました。彼女はいつも絶妙なタイミングで心有る言葉を紡ぐ、とても魅力的な人です。
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